目次
積み立て投資とは?
積み立て投資とは、まとまった資金を一括で投資するのとは異なり、毎月一定の金額を積み立てて投資する方法のことです。積み立て投資は、主に「投資信託」への投資で使われることが多く、決まった金額が毎月自動的に積み立てられていきます。
たとえば、「毎月30日に1万円、日本株の投資信託に積み立てする」という設定をしておけば、その後自動で買い付けをおこなってくれるのです。そのため、日ごろ忙しく投資のための情報収集に時間を割くことが難しい人でも、無理なく始められるでしょう。
ただし、積み立て投資は預金ではなく投資なので、お金の元本は保証されていません。相場によっては、損することもあります。積み立て投資のメリット・デメリットをおさえたうえで始めるようにしましょう。
積み立て投資のメリット
ここでは、積み立て投資のメリットを4つ紹介します。
- 誰でも簡単に始めやすい
- 時間の分散ができる
- 高値掴みする心配がない
- 複利効果が期待できる
誰でも簡単に始めやすい
積み立て投資のメリットの1つ目は、「誰でも簡単に始めやすい」ことです。月1万円などの少額から始められるため、投資初心者や若い世代も貯蓄の一環として、無理なく投資ができます。最近ではネット証券などを活用すると、1000円からの積立や、ポイントを利用した積み立ても可能です。
また、積み立て投資は個別株の売買とは異なり、投資の知識やスキルは必要ないため、初心者の人でも非常にハードルが低いといえます。証券口座を開設し、積み立て投資の設定をおこなうだけで、誰でも簡単に始められます。
時間の分散ができる
積み立て投資では、「時間の分散ができる」メリットもあります。
積み立て投資の場合、複数の異なるタイミングで買付をおこなうため、価格変動のリスクを抑えることができるといわれています。これを「ドルコスト平均法」と呼びます。「ドルコスト平均法」では、毎月一定額を購入するため、価格が高い時期には少ない口数、反対に価格が低い時期にはより多くの口数を買付することができます。そして、中長期での資産形成では、全体の平均単価を平準化する効果があるといわれています。
例えば、スーパーでリンゴを購入する場合を考えてみましょう。
リンゴの値段は、毎日、不規則に変動するとします。できるだけ安く買いたいわけですが、ドルコスト均等法を使って買っていくとします。
一定期間、一定額で購入するので、毎日500円で買えるだけリンゴを買うとします。
例えば、リンゴの値段が、1日目100円、2日目80円、3日目60円、4日目110円、5日目50円、6日目120円、7日目90円、だったとします。
毎日500円で買えるだけ買ったら、
1日目5個、2日目6.25個、3日目8.3個、4日目4.5個、5日目10個、6日目4.1個、7日目5.5個、購入できました。
実際には、リンゴは1個ずつしか買えませんが、便宜上、量り売りで買えることにしてください。
さて、合計すると、3500円で43.65個買えました。
1個当たり80円で買うことができています。
この7日間のリンゴの平均価格は、87円ですから、平均よりも実に10%近く安く買えているわけです。
それは、価格が下がった時に、たくさん買うことができているから、1個当たりの購入価格が下がっているのです。
これを投資に応用しているのが、積み立て投資なのです。
毎月一定額を投資することで、安い時はたくさん投資をして、価格が高い時は少ししか投資しないので、平均すると、投資の効率が良くなるということです。
高値掴みする心配がない
積み立て投資をおこなうと、「高値掴みする心配がない」ともいわれています。必ずしも一括投資が悪いわけではないのですが、一括の場合、たまたま価格が高い時期だったりすると、「高値掴み」になってしまい、利益が出にくくなるのです。購入するタイミングが悪いと、「高値掴み」したあげく、価格が下落し、大きな損失が出ることもあるでしょう。しかし、積み立て投資の場合は、毎月定期的に購入するため、価格の高い時期も低い時期も購入できるため、大金を高値で入金してしまうという失敗は起きません。
複利効果が期待できる
積み立て投資で長期運用をおこなうことで、「複利効果」が期待できます。「複利」とは、運用で発生した利益を元本に上乗せして運用することをいいます。年数が経ってくると、利益が利益を生み出し、雪だるま方式で増えていくこともあります。5年10年と長期的に積み立てることによって、より大きな利益が期待できるのです。
積み立て投資のデメリット
積み立て投資には、投資をするうえでのメリットが非常に多いといえますが、必ずしも損せずうまくいくというわけではありません。ここでは、積み立て投資をおこなう際の注意点を3つ紹介します。
- 最大の利益をとるのは難しい
- 利益が出るまでに時間がかかる
- 元本割れの可能性もある
最大の利益をとるのは難しい
積み立て投資は、リスクを抑えて投資をすることはできますが、毎月自動積み立てのため、利益を最大まで大きくするということはできません。利益を最大にしようと思うと、価格が下がった時に一括で投資をするということになります。しかし、繰り返しになりますが、価格の変動を見極めるのは初心者の方には難しいし、ずっと監視をしているわけにもいきません。ですから、最大の利益を出すのではなく、リスクを抑えて確実に少しずつ利益を積み上げていく方が、初心者には向いているのです。
利益が出るまでに時間がかかる
積み立て投資の成果は、「積立金額×年数×投資に対するリターン」で決まるといっても過言ではありません。少額から始められることはメリットでもありますが、老後資金などの大きな資金にしようとすると、長い間投資し続けなければなりません。20代30代の若い世代では、経済的に余裕はないかもしれませんが、時間を味方につけ、少額で長期投資が可能です。すぐに利益が出なくとも、将来的な資金だと考え、コツコツと積み立てましょう。
元本割れの可能性もある
積み立て投資には、投資のタイミングを分散する効果がありますが、投資である以上「元本割れ」のリスクはあります。元本割れとは、投資した元の金額よりも、運用で損失が出て減ってしまうことです。同じ積み立てでも、積立定期預金の場合は、金融機関による「元本保証」があり、積み立てた金額を下回ることはありません。ただし、預金の利息は年率0.001%ほどで、まったく増えないのです。そのため、「元本割れ」も念頭に置きながら、積み立て投資にも取り組んでみましょう。長期運用をおこなうことで、「元本割れ」のリスクは軽減することもできます。
積み立て投資を成功させるポイント
ここでは、積み立て投資を失敗せずにおこなうためのポイントを3つご紹介します。
- 長期で続けよう
- 今の株価に一喜一憂しない
- 自分で売り買いの判断をしない
- つみたてNISAを利用しよう
長期で続けよう
積み立て投資は、長期で続けることをお勧めします。
数か月の積み立てでは、ドルコスト均等法での取得単価を低く抑える効果も小さいですし、投資は長期で運用することで複利の効果が大きくで始めます。
年数を指定することはできませんが、短期間で結果を出そうとせずに、長期的な視点で考えるようにしましょう。
だから、初心者の方がまずやるなら、時間を分散させる「積み立て投資」です。
それも、証券会社によっては100円から始められますから、少額を毎月少しずつ積み立ててみましょう。
今の株価に一喜一憂しない
積み立て投資を始めると、株価が気になり、ついつい下落時には敏感になってしまいます。しかし、積み立て投資は、老後資金などの遠い将来のための資産形成です。短期的な相場の上昇や下落は特に気にする必要ありません。むしろ、下落局面では、「安くで購入できた」とポジティブに考えるくらいがちょうどよいのです。今の損益に一喜一憂せず、数十年後の株価の上昇に期待しましょう。
自分で売り買いの判断をしない
売買の判断を自分でおこなわず、相場が大きく動いても積み立てを継続することが大切です。株価が下落すると、不安になり「狼狽売り」をしてしまう人も多いでしょう。しかし、積み立て投資の場合、底値でも買い付けを継続することで、上昇するとより多くの利益をもたらすことにもつながります。投資判断はプロでも難しいものです。ましてや投資初心者にとって自分自身で投資判断をくだすのは、とてもハードルの高いことでしょう。ですので、自分で決めず、毎月定額で積立をおこなうことをおすすめします。
つみたてNISAを利用しよう
積み立て投資を始める際には、「つみたてNISA」を利用しましょう。つみたてNISAとは、一部の投資信託を対象とした積み立て投資専用の少額投資非課税制度のことです。年間40万円で20年間の合計800万円までの積み立て投資に対して、税金がかかりません。通常投資の利益に対しては20.315%の譲渡所得税が発生しますが、つみたてNISAを利用することで、非課税で利益を受け取ることができます。つみたてNISAは証券会社で無料で開設することができますので、手続きをおこないましょう。
まとめ
積み立て投資では、購入のタイミングを自分で判断する必要がなく、少額で始められるため、投資初心者にもおすすめの投資方法です。短期的な値動きに一喜一憂するのではなく、老後資金など中長期目線で資産を育てることを意識しましょう。そして、株価が下落しても積み立てを継続することです。積み立てていると「高値掴み」をしてしまったと感じることもあるかもしれませんが、十数年後にはさらに株価が上昇していると信じ、長期で積み立てましょう。