つみたてNISAの金額変更はできる?損しないためのタイミングも紹介

つみたてNISAの金額変更はできる?損しないためのタイミングも紹介

つみたてNISAは、20年間という長期にわたって積み立て投資を行うことを前提とした制度です。基本的には契約時に設定した金額を毎月積み立てていくことになります。

しかし、経済状況の変化などの理由から、毎月同じ金額を支払い続けるのが難しくなったり、逆に余裕が出て投資額を増やしたいなと考えたりする場合もあるでしょう。そう考えると気になるのが、つみたてNISAの金額変更はできるかという点です。

本記事ではつみたてNISAの金額変更のメリットや方法、注意点などを解説します。

つみたてNISAの金額変更は可能

つみたてNISAの金額変更は可能

結論から言うと、つみたてNISAの金額変更は可能です。ただし、無制限に投資金額を増やしたり減らしたりできるわけではありません。つみたてNISAの金額変更のルールを紹介します。

年40万円の非課税額範囲内であればOK

つみたてNISAの金額変更は可能

少額からの長期・積立・分散投資を支援するつみたてNISAの投資金額は、NISAの120万円と比べて投資金額の上限がより低く、年40万円までしか投資できません。金額変更についても、この40万円の範囲内なら問題なくできます。

例えば毎月3万円、年に換算すると36万円つみたてNISAに投資していたとしましょう。投資金額の上限は40万円なので、40-36=4万円分は増額変更することができます。

増額変更だけでなく、証券会社が定める最低投資金額の水準を超えていれば減額変更も可能です。

年2回のボーナス月のみの増額も可能

つみたてNISAでは年2回、指定月を定めて増額買い付けができるボーナス月が存在します。ボーナス月を利用して増額変更すれば、毎月の積み立て額だけでは余分が生じていても枠を全て使い切ることが可能です。

例えば、下記グラフをみてください。

つみたてNISAの金額変更は可能

これは毎月の積み立て額を3万円に設定した場合です。毎月の積み立てだけでは3万円×12ヶ月=36万円にしかなりませんが、6月と12月に2万円の増額変更をしているので40万円の枠を全て使い切っています。

このようにボーナス月を利用すれば、ボーナスで余裕が出た月は増額できるのです。設定方法も簡単で、契約時にボーナス月コースを選ぶだけで、ボーナスによる増額変更が可能となる金融機関が多いでしょう。

つみたてNISAの金額変更のメリット

つみたてNISAの金額変更のメリット

つみたてNISAで金額変更をするとどのようなメリットがあるのでしょう。金額変更の代表的なメリットについて、2つご紹介します。

メリット①投資資金が多い方が非課税額が増える

投資資金が増えると運用利益はもちろんですが、非課税額も増えます。非課税額が増えるということは、それだけ投資効果が上がるということです。

つみたてNISAは非課税枠の範囲内で運用した利益に対しては課税されない点が大きな特徴ですので、投資資金をかけ利益が増えれば増えるほど、税金を納めずに済む運用益も増え、最終的に投資効果が高くなります。

具体的なケースを見てみましょう。

つみたてNISAの金額変更のメリット

毎月1,000円、5,000円、10,000円投資を続けた時の運用益のグラフです。予想利回りは全て4%としています。

グラフを見ると一目瞭然で、投資の額が増えれば増えるほど、運用益も比例して大きくなるのです。本来ならば、投資で得た利益に対しては約20%の税金がかかりますが、つみたてNISAでは税金が全くかかりません。

この非課税による効果を金額で表すと、1,000円を20年投資したケースでは2万5,754円、5,000円を20年投資した際は12万8,771円、10,000円を20年投資すると25万7,542円が非課税となり、自分の利益として受け取れます。

毎月1,000円と毎月10,000円では、20年後には大きな差が生まれますので、投資できる時には増額することを検討しましょう。

メリット②掛金の捻出が途中で厳しくなっても継続できる

掛金の捻出が途中で厳しくなっても、つみたてNISAは金額変更が可能なので、減額して継続運用できる点も大きなメリットでしょう。

つみたてNISAは長期的に安定した資産形成を目指す制度で、長年投資を続けてこそ利益が出る仕組みとなっています。掛金の捻出が途中で厳しくなると、「つみたてNISAをやめたい」と思ってしまいがちです。

つみたてNISAは長期的に継続運用することが大切なので、苦しい時は減額変更して継続するようにしましょう。

つみたてNISAの金額変更の方法は?

つみたてNISAの金額変更の方法は?

つみたてNISAの金額変更はどのように行えばよいのでしょう。各証券会社における具体的な方法を紹介しますので、金額変更をする際の参考にしてください。

ネット証券会社の方が金額変更がしやすい

つみたてNISAは、銀行や証券会社などの金融機関で口座を開くことができますが、金額変更がしやすいのはネット証券会社です。

年2回のボーナス月設定はどこの金融機関も行っていますが、ネット証券会社の方がより柔軟な金額変更に対応しています。自宅で操作できるうえに選択肢も多いので、ネット証券会社の利用をおすすめします。

楽天証券における金額変更方法

楽天証券における、つみたてNISAの金額変更手順は以下の通りです。

①楽天証券のサイトにログイン
②「投信」-「積立設定」メニューから積立設定一覧画面を開く
③変更したい積み立て設定の「変更」をクリック
④変更したい項目を入力
⑤変更内容と設定適用開始日を確認
⑥取引暗証番号を入力
金額だけでなく口座から投資資金が引き落とされる日についても変更できます。

楽天証券では年間の投資枠に余分が生じているならば、1年間に限り、毎月の投資額に上乗せして買い付け金額を増やすことが可能です。

松井証券における金額変更方法

松井証券におけるつみたてNISAの金額変更方法は以下の手順を踏みます。

①投資信託お客様サイトにアクセス
②投資取引-積立設定一覧をクリック
③変更したいつみたてNISAの「変更」ボタンをクリック

松井証券では変更できる項目は積み立て金額のみです。積み立ての頻度や日付、増額月の設定はできませんので注意してください。

SMBC日興証券における金額変更方法

SMBC証券における金額変更設定の手順は以下の通りです。

①お客様サイトにアクセス
②「設定内容照会/変更」画面で「金額変更・NISA設定」ボタンをクリック
③変更後の積み立て金額を入力
④「NISA勘定設定」のチェックボックスにもチェックを入れた上で「次へ」を押す
⑤変更後の目論見書を確認
⑥変更内容を確認する

変更後の積み立て金額は1,000円以上でないと入力できない点に注意してください。

つみたてNISAで金額変更する際の注意点

つみたてNISAで金額変更する際の注意点

つみたてNISAで金額変更する際の注意点を3つ解説します。

解約すると非課税期間が終了する

つみたてNISAは原則として20年間は投資で得た利益に対して税金がかからないのが大きなメリットです。

しかし、途中解約するとその時点で非課税期間が終了してしまいます。このため、毎月の投資額の支払いが厳しくても解約はおすすめできません。

「売却して得た利益で、再度つみたてNISAを購入すれば良いのでは」と思う人もいるかもしれません。一度解約したつみたてNISAの口座を再開設することは可能ですが、それまで積み上げてきた利益を手放すのはもったいないです。

つみたてNISAは利益を再投資する複利効果を狙える仕組みなので、長期間運用することで利益がどんどん増えます。つまり、長期間運用することで非課税の恩恵をより多く受けられるため、途中解約してしまっては恩恵を自ら捨てるようなものなのです。同額での継続が厳しいときは、減額や中断を検討しましょう。

最低金額は金融機関によって異なる

つみたてNISAの最低投資金額は金融機関によって異なります。この最低基準を知らないと、希望額への減額変更ができない事態に陥ることもあるので注意しましょう。

月100円から可能なところから月5,000円からでないと受け付けていないところまで、最低投資金額は金融機関によって様々です。契約時にいくらから投資可能なのか、きちんと確認しておきましょう。

無理して増額変更しない

投資金額が多い方が得だからといって、無理して増額変更するのはおすすめできません。優先すべきなのは今の生活です。今を生き延びなければ明日を迎えることはできないのですから、今の生活を優先しましょう。

「40万円を使い切らないともったいない」と感じる気持ちは分かりますが、投資は余剰資金を使って行ったほうがリスクを低く抑えられ、結果的に投資に成功しやすくなります。

余剰資金なら、大きく値がっても経済的・精神的なダメージを最小限に抑えることが可能ですが、無理な投資をすると経済的にも精神的にも追い込まれてしまうでしょう。無理して増額変更しないという心がけも、投資には大切なのです。

どうしても掛金の支払いが苦しい時は?

どうしても掛金の支払いが苦しい時は?

20年もの長い間には、何が起きるかは分かりません。友人の結婚式が重なったり、家をローンで購入することになったりと大きな出費が生じることもあるでしょう。

急に大金を支払わねばならず、どうしても掛金の支払いが苦しくなったらどうすれば良いのでしょうか。

中断する選択も取れる

つみたてNISAでは中断という選択も可能です。毎月の購入金額をゼロに変更し、それ以上の投資を打ち切ります。あくまで一時的に投資を止めただけにとどまるので、再開も可能です。収入が大きく減少し支払いが難しければ中断も検討しましょう。

まとめ

まとめ

つみたてNISAの金額変更の方法やメリットなどを解説してきました。

簡単にまとめると、増額変更では非課税効果が大きくなること、減額変更では掛金の拠出が難しくても継続できる点がメリットです。

変更方法は金融機関のサイトにアクセスすれば簡単にできます。金額変更の注意点としては無理に増額変更しないことです。未来の利益よりも今の自分の生活を優先しましょう。もしどうしても支払いが厳しければ中断という選択も取れるので、経済状況に応じて柔軟に対処してください。