つみたてNISAは投資の王道である長期・分散・積立投資を実践できる少額投資非課税制度です。
いざ、つみたてNISAで投資をしようと思っても、「つみたてNISAで投資する銘柄ってどうやって選べばいいのかわからない」 「どんな組み合わせが良いのか知りたい」と感じる方多いでしょう。
つみたてNISAで投資ができる銘柄は180本以上ありますので、迷うのも無理はありません。そこで今回は、つみたてNISAの選び方や組み合わせなどについて解説します。
目次
つみたてNISAの銘柄はどう選ぶ?
つみたてNISAの銘柄を選ぶとき、何を基準にすれば良いのでしょうか。ここでは3つの選び方のパターンを紹介します。
つみたてNISAの銘柄180本以上から選ぶ
つみたてNISAで投資ができる銘柄は、金融庁が認定した長期・分散・積立投資に適した184本の銘柄のみです。(2020年10月23日現在)
184本は国内株に投資をしているもの、海外株に投資をしているもの、不動産や債券に投資をしているものなどバリエーション豊富で、中には株式と不動産、債券を組み合わせたものもあります。どの銘柄が自分の投資スタイルに合っているのか、よく吟味して商品を選ぶようにしましょう。
つみたてNISAの銘柄には、大きくわけて「株式100型の銘柄」と「複合資産型の銘柄」があります。それぞれ特徴について詳しく説明しましょう。
株式100%型の銘柄から選ぶ
「株式100%型の銘柄」とは、日本株や海外株など株式のみに投資をして利益を追求する銘柄のこと。例えば「株式100%型の銘柄」の「One-たわらノーロードTOPIX」という銘柄は、トヨタ自動車やソニー、ソフトバンクグループといった日本株のみに投資しています。このように「株式100%型の銘柄」は、株式のみに投資をしているのです。
一般的に株式は、他の債券やリート(不動産)に比べるとリスクは高いですが、高いリターンも期待できます。そのため、リスクを取って資産運用したい場合は、「株式100%型の銘柄」が選択すると良いでしょう。
「株式100%型の銘柄」の中には日経平均株価に連動することを目指している銘柄が多数ありますが、日経平均株価は2020年、下記のような動きをしています。
1月最高値24,083円→3月最安値16,552円→10月23日23,516円
1月の最高値から3月最安値まで30%以上下落し、その後10月23日時点では40%以上上昇したのです。 今年はコロナショックがあったので例年よりも値動きは激しかったのですが、「株式100%型の銘柄」はこれくらいの値動きもあり得る、ということは押さえておきましょう。
複合資産型の銘柄から選ぶ
「複合資産型の銘柄」は、株式だけでなく債券やリート(不動産)といった複数の資産を組み合わせている投資信託です。
債券やリート(不動産)は株式に比べるとリターンは低いですが、リスクも低い傾向があります。リスクを抑えながら資産運用をしたい場合には、「複合資産型の銘柄」が適していると言えるでしょう。
この「複合資産型の銘柄」の中に、例えば「楽天・インデックス・バランス・ファンド(債券重視型)」という銘柄があります。この銘柄の2020年の値動きは以下のとおりです。
2月最高値10,971円→3月最安値9,569円→10月22日11,023円
こう見ると2月の最高値から3月の最安値まで約13%の下落し、3月の最安値から10月22日までに約15%上昇しています。 先述した日経平均株価の「株式100%型の銘柄」の例と比べても、上昇・下落率が低いのがわかるでしょう。
2020年はコロナショックの影響で値動きが激しかったですが、債券などが組み合わされていたため、「これくらいの値動きにとどまっている」と見ることもできます。
つみたてNISAのファンドの種類は?
つみたてNISAのファンドは、3種類にわけられます。投資をはじめるのであれば、この3種類違いについてはしっかりと把握して、購入する銘柄を選びましょう。ちなみに、投資信託とは何が違うのか気になる方が多いと思いますが、基本的には『ファンド=投資信託』と考えて大丈夫です。細かくいうと監督体制に違いはあるのですが、どちらも投資家から集めたお金をプロが運用する銘柄のことを指しています。
インデックスファンド
インデックスファンドとは、世界中の市場の平均的なリターンを狙うファンドのことです。日経平均株価やTOPIXといった市場全体の動きを示す指数があるのですが、インデックスファンドは、それらの指数と連動する値動きを目指しているタイプのファンドのことを言います。
つまり日経平均株価と連動を目指すインデックスファンドを買えば、日経平均株価を買った場合とほぼ同じリターンを期待できるのです。
もちろん、日本市場だけでなく、例えばアメリカ市場の代表的な指数であるNYダウやS&P500といった指数と連動を目指したインデックスファンドもあります。なお、後述するアクティブファンドに比べて、低リターンの傾向がありますが、長期に見ると上昇していることが多いので、長期保有に向いている低リスクタイプであると言えるでしょう。
アクティブファンド
アクティブファンドとは、ファンドマネージャーが独自に銘柄を選んで、市場の平均的なリターンを上回る成績を目指しているファンドのことです。日経平均株価を基準にしたアクティブファンドであれば、日経平均株価よりも高いリターンを目指しているため、独自に投資する銘柄・タイミング・資産配分を決定していきます。そのため、インデックスファンドに比べてリスクは高いですが、高リターンを期待できるのです。
ETF
ETFとは日経平均株価やTOPIX、NYダウ等の指数と連動するように運用している投資信託の一種です。
インデックスファンドも特定の指数と連動するように運用していますが、もっとも大きい違いはインデックスファンドが非上場の投資信託であるのに対して、ETFは証券市場に上場していることでしょう。ETFはリアルタイムで変動する市場の値動きを見ながら売買できるのです。(インデックスファンドの基準価格は1日1回算出されるものなので、注文した翌日以降にならないと購入価格がわからない)
値動きを見ながら投資をしたい人はETFと相性が良いですが、つみたてNISAでは取り扱い銘柄の少ないこと、取り扱っている証券会社も少ないことがデメリットでしょう。
つみたてNISAの投資対象とは?
つみたてNISAの投資対象にはどのようなタイプがあるのでしょうか。詳しく見ていきます。
つみたてNISAの投資対象は4種類
つみたてNISAの投資対象は、大きく分けると以下の4種類にわけられます。
- 国内株:日本国内の株式に投資をしている銘柄
- 先進国株:アメリカやイギリス、ユーロ圏の国々などの先進国株に投資をしている銘柄
- 新興国株:中国やインド、台湾や韓国など新興国株に投資をしている銘柄で、他の3種類と比べると値動きが大きい傾向がある
- バランスファンド:複数の資産を組み合わせている銘柄で、1つ持っているだけで複数資産に分散投資したのと同じ効果が得られる
つみたてNISAの投資対象は基本的に株式なので、債券やREITなどを入れたものが欲しい場合はバランスファンドを選びましょう。しかし、株式比率などが商品によって違い、なかには新興国株の比重が高いものもあるため、値動きが激しい商品もありますので注意してください。
4種類が均一のバランスファンドもある
バランスファンドは商品によって株式比率が異なるのですが、国内株・海外株・日本債券・海外債券をそれぞれ25%ずつ均等に投資をしているバランスファンドもあります。
4種類の資産に分散投資ができるため、リスクを抑えながら、リターンを狙える商品だと言えるでしょう。株式に100%投資をする「株式100%型」の銘柄に比べると、値動きが緩やかなため、あまり日々の値動きに心動かされたくない人におすすめです。
つみたてNISAの銘柄はいくつ選ぶ?
ここまでつみたてNISAの選び方や投資対象について見てきました。それでは銘柄はどのくらい選ぶのが良いのでしょうか。ここではつみたてNISAで投資をする銘柄数の考え方について説明していきます。
分散効果を意識した銘柄選びが大切
投資をする上で、なるべく多くの銘柄に分散投資をすることは非常に大切です。仮に1つの銘柄に集中投資をしてしまうと、その銘柄が大暴落したときに大きなダメージを受けることになります。しかし、10銘柄に投資をしていれば、たとえ1つの銘柄が大暴落したとしても、影響は1/10に留めることが可能です。
一般的には、異なる値動きをしやすい複数の資産(国内株と海外株、国内株と国内債券など)を3~4銘柄程度組み合わせすることを意識した銘柄選びをしておけば、分散効果を期待できるでしょう。
なお、3~4銘柄に絞らずとも「異なる値動きをしやすい複数の資産に投資をする」という原則さえ守れば、保有する銘柄は多ければ多いほど分散効果が期待できますので、自分の投資資金と相談して銘柄数を決めましょう。
1つで分散投資できる銘柄もある
分散効果を発揮するためには、複数の銘柄に投資をすることが大切です。しかし、「分散投資をしたいけれど、何を選べば良いのか分からない」という人もいるでしょう。そこでおすすめなのが、「1つで分散投資ができる銘柄」です。
均等型のインデックス・バランス・ファンドであれば、全世界の株式・債券に投資をしていますので、選ぶのが大変だと感じる方には選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
つみたてNISAの注意点
最後につみたてNISAを利用する上での注意点を3つ解説していきます。
同じ資産クラスを選ばない
資産クラスとは投資対象の種類のことで、国内株、海外株、外国債券、国内債券、不動産、現預金などの各投資対象を指しています。
つみたてNISAの投資対象は、国内株・先進国株・新興国株・バランスファンドの4種類ありますが、国内株に投資をする銘柄をいくつも買うなど、同じ資産クラスを選ばないようにしましょう。同じ資産クラスの銘柄は相対的に似たような値動きをするため、充分な分散効果が得られないからです。
分散投資とは「ただ商品名が違う銘柄に投資をするのではなく、異なる資産クラスに投資をしている銘柄に投資するということ」ですので、資産クラスも分散されるように商品を選ぶようにしましょう。
スイッチングができない
スイッチングとは、保有している銘柄を他の銘柄に入れ替えることを言います。つみたてNISAの運用商品を変更すること自体は可能ですが、スイッチングするときは非課税投資枠を消費してしまうことに注意しなくてはいけません。
つみたてNISAは年間40万円の非課税投資枠がありますが、現在保有している投資信託を売っても使ってしまった非課税枠は戻らず、新たな投資信託を購入するとその分の投資枠まで消費することになります。
例えば、つみたてNISAで1万円分保有していたA銘柄を、B銘柄に替えたいと思ったとします。しかし、A銘柄1万円分売ったとしても、その1万円の枠は復活せず、残りの39万円分しかつみたてNISAで投資ができません。
このように一度銘柄を買うと、その買った分の枠は他の銘柄につみたてNISAの枠内に置き換えられず、効率的に非課税枠を使った長期投資ができなくなるので注意しましょう。
「信託報酬」を確認する
「信託報酬」とは、投資信託を保有している限り支払うことになる、いわば運用管理費のことです。一般的には年間0.5~2%(+税)掛かります。「塵も積もれば山となる」ではないですが、保有し続ける限り、支払わなければならないため、安いに越したことはありません。
つみたてNISAの投資対象銘柄は、金融庁が認定した信託報酬が一定水準以下の銘柄ですので、それほど心配はいらないですが念の為チェックしておきましょう。
なお、信託報酬は銘柄の価格である基準価格から差し引かれますので、別途支払い手続きなどをする必要はありません。
銘柄の組み合わせを選んでみよう
つみたてNISAの銘柄の選び方などを紹介してきました。つみたてNISAは資産を形成していく上で、是非とも有効活用したい制度です。今回紹介した銘柄の選び方などを参考に投資の勉強をして、つみたてNISAから投資を始めてみてはいかがでしょうか。