MMFとは安全性の高い投資信託!MRFとの違いやメリットを解説

電卓とペンのイメージ

MMFは公社債を中心に投資する投資信託のひとつです。現在、証券会社から購入できるのは外貨建てのみで、格付けの高い債券で運用されています。本記事では、MMFと外貨預金の違いやMRFとの関係、メリットやリスクなどについて紹介しましょう。

MMFとは?

ドル札を持つ女性のイメージ

 

MMFとは「マネー・マネジメント・ファンド(Money Management Fund)」の略で、主にドルやユーロなどの外貨を利用して取引をする投資信託のことです。安全性の高い国債や企業の社債が投資対象のため比較的安全に取引でき、安定した利回りが得られます。

ここでは、MMFの特徴や外貨預金との違いなどを紹介しましょう。

外貨建ての投資信託

MMFは外貨建てで行う投資信託です。投資信託とは、投資家から集めた資金をまとめて運用のプロが株式や債券などに投資、運用してその成果を投資家に還元するもの。主に株式投資信託と公社債投資信託があり、MMFは株式を一切組み入れられない公社債投資信託です。

基本的に元本の保証はありませんが、MMFはできるだけ元本割れのリスクを抑えるため、短期の国債や社債など格付の高い金融商品に投資しているのが特徴です。そのため安全性は高いものの、円高になると価格が下がる為替変動のリスクを抱えています。

現在の運用は外貨建てのみ

2021年6月現在、円建てのMMFは購入できず、外貨建てのみの運用です。2016年に日本銀行がマイナス金利を導入した際に、利回りの低下で運用が難しくなった円建てMMFはすべて繰り上げ償還して消滅したという経緯があります。

円建てMMFを扱わない現在では、MMFといえば外貨建てMMFを指すのが通常です。

外貨預金とはどちらが得?

MMFとよく比較されるのが外貨預金で、どちらも外貨に投資する金融商品ですがMMFの方が利回りが良くお得です。両者は投資方法や利回り、仕組みなどが根本的に異なります。

外貨預金は、日本円をドルやユーロなどの外貨に換金して預金するものです。円で預金する場合と同じく普通預金と定期預金があり、確定利率の利息が付きます。

普通預金はいつでも出し入れできますが、定期預金は原則として満期日までは換金できません。

一方、MMFは運用により利益を上げるため、外貨預金よりも利率が高い傾向にあります。外貨預金は外貨ベースで元本の保証があるのに対し、MMFは基本的に保証されていません。ただし、外貨預金の場合でも為替変動により円ベースで見ると元本割れの可能性はあります。

また、金融機関が倒産した場合、MMFの資産は証券会社の財産と分別管理されているため影響を受けません。一方、銀行は一定額の預金が保護される預金保険制度がありますが、外貨預金はその対象とならず、資産は保護されないことになります。

MMFと外貨の違いのイメージ

MMFとMRFの違い

お金のイメージ

MMFと間違えやすいものに、MRFがあります。MRFとは正式名称がマネー・リザーブ・ファンド(Money Reserve Fund)で、「リザーブ」すなわちお金を貯める投資信託のことです。

投資信託という点ではMMFと変わりありませんが、MMFはそのつど買い付けを行うのに対し、MRFは預けると自動で運用されるという点が異なります。これらの違いについて、詳しく見ていきましょう。

どちらも安全性が高い投資信託

MMFとMRFはどちらも公社債投資信託で、国債や地方債、電力債など安全性の高い商品を対象にしています。元本割れのリスクはあるもののその可能性は低く、安全性が高いのが特徴です。

MRFは、2021年現在で一度も元本割れを起こしたことがありません。公社債への投資により得られた利益を分配金として還元し、運用により利回りは変化します。

MRFは自動で運用

MRFは銀行の普通預金にあたるもので、預け入れると自動で運用されます。投資資金を待機させておくことを主な目的としており、MRFの口座からスムーズな投資ができるという仕組みです。

常に投資資金として備えておく必要があるため、元本割れを起こす価格変動のリスクを極力抑える運用が行われています。安全性は高いものの、MMFに比べて利回りは低めです。

MRFはそのつど投資する手間を省き、資金を手軽に運用したい方におすすめです。

MMFはそのつど購入

MMFは、MRFの口座からそのつど購入します。運用で得た利益はすべてMRFに入金され、そこからさらに購入するというシステムです。1円単位で運用でき、30日以上運用すればいつでも入出金ができます。MRFよりも利回りが高いのが特徴です。

MMFとMRFの運用は、次の図を参考にするとイメージしやすいでしょう。MRFは一度入金すれば自動で運用され、そこから自由にMMFを購入します。30日経過後に売却でき、その価格が分配金とともにMRFへ入金されるという流れです。

MMFはMRFよりも高い利回りが期待できるため、少しでも多く運用利益をあげたい方におすすめです。

MMFとMRFの運用のイメージ

MMFのメリット5つ

ドル札とスマホのイメージ

MMFは、「利回りが高い」「少額から投資できる」など多くのメリットがあります。売買手数料がかからないため、低コストで始められるのも魅力です。

積み立てにより、定期的に購入できるという利点もあります。銀行と異なり、証券会社が破綻した場合に資金が戻らないというリスクはありません。これら、MMFのメリット5つについて紹介します。

1.利回りが高い

MMFは金利が高めな海外の金融商品に投資するため、利回りが良いのが特徴です。また、金利の水準は各国の市場と連動しているため、金利の高い国の通貨に投資すれば、より好利回りで運用できます。購入する際に為替レートを確認しておき、円高のときに購入して円安になったときに売却すれば、為替変動による差益も得られるでしょう。

分配金はMRFに戻されて再投資でき、利息を含めた金額に利息がつく複利効果も期待できます。為替変動のリスクはあるものの、安全な投資対象に限定されているため定期預金と同じ感覚で投資できるのも魅力です。

2.少額投資ができる

MMFは少額から始められるのもメリットです。購入できる単位は証券会社によって異なりますが、外貨決済なら1,000円相当、円決済であれば1,000円から購入できるところもあります。初心者でも始めやすい取引といえるでしょう。

外貨定期預金のように預入期間が定められていることもないため、気軽に投資できます。

3.手数料が安い

MMFは売買手数料がかからないのも魅力です。為替手数料はかかりますが、他の投資方法に比べれば安く、できるだけ安い証券会社を選ぶことでコストを抑えることが可能です。

MMFでかかるコストは為替手数料のほか、売却して得た利益に譲渡益税がかかります。特定口座を選んでいれば、20.315%(所得税と復興特別所得税)が源泉徴収されたあとMRFに振り込まれますが、株式などの譲渡分と損益通算も可能です。

MMFでかかるコストのイメージ

4.積み立てで購入できる

MMFは積み立ての購入も可能です。米ドルや南アフリカランドなど好利回りの外国通貨を対象に、1,000円程度から積み立てができます。

毎月定期的に引き落とされるため、手間がかかりません。時間分散投資により一度に購入するよりもリスクが少なく、一定金額を投資し続けることで平均買付単価を低く抑えるというメリットもあります。

5.証券会社が破綻しても保護される

証券会社の場合、万が一会社が破綻してもMMFの資金は保護されます。証券会社の財産と投資家が預けた資産とは分別管理することが法律で定められているためです。

仮に証券会社が分別管理を行っていなかったという場合でも、すべての金融商品取引業者が加入を義務付けられている「日本投資者保護基金」という機関が代わりに資産を保護するため、心配ありません。

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MMFのリスク

外貨のイメージ

MMFは安全性が高いとはいえ、まったくリスクがないわけではありません。外貨建てのため為替変動の影響を受け、損をする可能性はあります。債券の発行体の財務状況が悪化することにより価格が変動するリスクもあるでしょう。元本割れの可能性も否定できません。

ここでは、MMFで考えられるリスクについて詳しく説明します。

為替変動で損をする可能性がある

MMFは外貨建てであるため、為替変動のリスクはつきまといます。投資したときより売却時の方が円高であれば、為替レートの差により損をしてしまうでしょう。

例えば、1ドル100円で1万通貨購入した場合、売却時に1ドル110円になっていると評価額は110万円となり、10万円の利益を受けとれます。しかし、円高で1ドル90円となった場合は評価額は90万円で、10万円の損失が出てしまうでしょう。

信用力の低下によるリスクがある

MMFは基本的に債券への投資であるため、信用力の低下による価格変動のリスクがあります。債券の発行体である国や企業などが財政難に陥った場合、現地通貨ベースの価格が変動する可能性があるでしょう。

発行体の信用度については民間の調査会社が発表している格付があるため、リスクを避けたい場合は参考にしてみるとよいでしょう。

元本割れの可能性も否定できない

MMFは格付けの高い短期証券や国債、社債を中心に投資をしているため、安全性が高い金融商品です。しかし、投資先の財政状態が悪化する可能性がないわけとは言い切れません。

ただ元本割れの確率は低く、これまでMMFの元本割れが起きたのは2001年の一度きりです。それも一部の運用会社だけで、影響を受けなかった証券会社もあります。とはいえ、投資信託という性質上、元本割れの可能性はあるということも認識しておくのがよいでしょう。

まとめ

電卓とお札のイメージ

MMFは外貨で購入する公社債投資信託です。高い格付けの債券を対象にしているため、比較的安全に投資ができます。少額で取引できるため初心者でも始めやすく、そのつど購入する手間のない積み立てができる証券会社もあります。好利回りが期待できるため、良い投資はないか考えている方は、試しに少額で始めてみるとよいでしょう。