コロナショックの影響はどう出る?iDeCoでとるべき対策

下がる株価のチャート

将来のためにiDeCoを運用している、もしくはこれから始めたいと考える方は多いでしょう。世界中で新型コロナウイルスの感染が拡大し、日本でも緊急事態宣言の発令や延長の影響で経済も打撃を受けることになりました。

まだまだ行く先に不安が残る中、iDeCoの運用は続けるべきか悩む人もいるでしょう。そこで今回はコロナの影響はiDeCoにどう出るのか、またiDeCoの運用にあたりとるべき対策について解説していきます。

新型コロナウイルスの影響で日経平均は乱高下

コロナウイルスの影響で下がるグラフ

新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの企業が臨時休業やリモートワークへ移行するといった対策がとられました。日本でも緊急事態宣言が全国に発令され、営業自粛や時短営業などを実行するお店が多く見られました。いつも通りに業務が行えない企業が増えたことで、景気にも大きな影響が出ています。

例えば、2020年3月16日に、ダウ平均株価は3,000ドル近くにまで値を下げ、過去最大の下げ幅を記録します。日本でも3月9日に1,050円99銭安、13日に1,128円58銭安と、過去最大の下げ幅を記録しました。この前の週は3,318円70銭だったので、それと比較すると大きな下げ幅であることはわかるでしょう。

ただ、日銀がETFの購入枠の倍増を決めたことで、23日の週からは2,836円60銭の上げ幅になりました。3月の日経平均は乱高下を繰り返しましたが、4月末になって2万円台に回復しています。

通常営業が可能となったことで落ち着きを取り戻しつつある経済ですが、まだまだ新型コロナへの不安材料は残ったままです。そのため、経済はしばらく不安定な状態が続くと予想されています。

不安定な市場環境だからこそ意識したい対策

人差し指を立てた手と円マークとグラフ

現金を確保して生活基盤を維持する

不安定な市場環境になった場合、まずは現金の確保が大事です。新型コロナの影響で、ボーナスの半減やカットになった人もいるでしょう。また、働けないことで個人の収入も減ったという人も少なくないはずです。特に外出禁止や自粛の影響から、観光業やイベント関係などの業種は、給料カットの影響を受けている可能性が高いでしょう。

収入が減るまたは得られないということは、生活に影響が出ると想像できます。今の時点で、半年から1年程の生活できるだけの預金があるのか、しっかり確認して今後に備えておくことが大事です。

やはり、もしもの事態が長期化し、不安定化する中で最も強い存在となるのは現金です。もともと投資は、今の生活基盤を維持した上で行われるものです。生活基盤が傾いた状態で投資に注ぎ込んでも得することはないでしょう。まずは生活基盤を維持できるだけの預金を備えることを優先することが大事です。

狼狽売りをしない

株価が下がった時、下落の不安から売却したいと考える人もいるでしょう。しかし、不安定な市場が続く時こそ、売却は控えた方がいいです。

相場が不安定になるとよく起きるのが狼狽売りです。狼狽売りとは、パニックにより保有していた資産を売却し、損失を確定させる行為です。この狼狽売りが市場全体に広まってしまうと、売りが先行するので市場がさらに悪化する事態を招いてしまいます。

長期運用となると、普段はほったらかしという人も多いでしょう。しかし、市場が下落した時に不安が大きくなり、感情だけの判断で売却するケースは初心者によくある行動です。このまま狼狽売りを続けても投資=損失のイメージが大きくなるばかりで、成功率を下げるだけでしょう。

損失が大きくなる不安は誰にでもありますが、不安定な相場が続く時こそ悪循環を招かないためにも売却は慎重になるべきです。特に積立による長期運用の場合、今まで積み上げてきたものを全て失う可能性があります。一時の相場で感情的になるよりも、長期的に投資と向き合うという意識を持って運用を続ければ、不安定な相場になった時も冷静な判断ができるでしょう。

iDeCoも基本的に継続した方がいい

お金が貯まり、芽が出るイメージ

iDeCo継続が良い理由

コロナショックの影響が残る中でも、iDeCoは基本的に継続することをおすすめします。その理由は、今後株価が回復または上昇する可能性が高いからです。

景気自体は、過去に何度も金融危機に陥り株価が下落し、危機が去ると株価は回復しています。コロナショック以前に起きた金融危機では、2008年9月に起きたリーマン・ショックがまだ記憶に新しいでしょう。

リーマン・ショックは、米国の大手投資銀行のリーマン・ブラザーズが経営破綻をきっかけに、連鎖的に世界規模で金融危機が起きた事象です。ショックが発生してから、約30日で下落率が4割に到達しました。しかし、ショック発生から120日後に株価は持ち直し始めています。

リーマン・ショックの影響は長期にわたり続きましたが、その後はコロナショック以前の景気へと回復を果たしています。もしリーマン・ショックの時点で資産を売っていたら、その後の上昇の恩恵を受けられなかったと考えられるでしょう。逆に、ショック時に慌てることなく売らなかった人は、資産を倍にしている可能性が高いです。

新型コロナも同じく下落の相場は一時的なものであり、現在は回復傾向にあります。そもそも経済が悪化した理由は、各国の政府が制限設置を行ったことに原因があるので、感染拡大が収まり、経済活動の制限が緩和されれば景気は持ち直すと言えるでしょう。

そして、iDeCoは回復力のある投資手法でもあります。もともとiDeCoは、毎月一定の金額を積み立てていき、長期的に資産を形成していく運用方法です。

株価が下がった時も買い続けるので、それは買付単価が下がることを意味します。つまり、もし株価が戻らなくても買付単価が安い分、プラスになるわけです。そういう理由から、コロナショックの中でもiDeCoの運用は続けた方がいいです。運用結果に一喜一憂するのではなく、長期的な視野を大事にしましょう。

暴落時はポートフォリオを見直してみよう

iDeCoの運用を継続するのであれば、ポートフォリオの見直しが大事です。ポートフォリオは定期的に確認と見直しをすることで、リスクを抑えつつ安定したリターンにつながる運用ができるようになります。

例えば、相場の大きな変動で価格変動が起きて、資産配分も大きく崩れる可能性があります。そうなるとリスク許容度が大幅に超えてしまうでしょう。この場合、投資商品を変更する配分変更か、保有資産を売って買い替えるスイッチングでリバランスし、配分を戻す必要があります。

コロナによる下落で株価が値下がりし、債権が値上がりしている場合は株式投資を行っている投資信託を多く買い、そのかわり債券投資をしている投資信託を少なくするという配分変更が考えられます。配分割合を変更して資産バランスを購入時と同じ状態に戻しておけば、株価が上がった時に恩恵を受けられるでしょう。

もしあと数年すると60歳という場合はスイッチングで出口戦略的に安全資産を増やすという方法ができます。例えば、今まで「AとBの投資信託を50%」の配分で構成していたとします。持っている資産を売って「投資信託Aに30%、定期預金に70%」という風に買い直すというのが、スイッチングによるリバランス方法です。

スイッチングでは売却時に信託財産留保額などが徴収されることがあり、頻繁に行うと資産が目減りする可能性があります。しかし、運用期間があとわずかであれば、スイッチングで利益を確定させて値下がりリスクを回避するという手法が可能です。

まとめ

コロナショックで相場は不安定ですが、これまでの金融危機でもV字回復は果たしているので、コロナ後も同様の傾向を見せると考えられます。長期運用で考えれば一時的な下落なので、ここで慌てて資産を売る必要はないでしょう。

それよりも生活資産を削ってまで運用しないように、しばらく生活ができるだけの資産を確保し、保有資産の狼狽売りを避けることが大事です。そして、iDeCoの運用はリスクを上げず安定したリターンにつなげるために、ポートフォリオを見直して運用を続け、長期的に資産を形成していきましょう。