新型コロナウイルスが世界中で問題となっており、日本でも多くの感染者を出しています。
私たちの生活に大きな影響を与えている新型コロナは、相場にも影響が出てしまっている状況です。このようなコロナ禍でiDeCoをどうするか悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。
今回は、コロナ禍で変動してきた相場やこのような現状でiDeCoを始めても良いのか、現在iDeCoに加入している人はどんな点に気を付ければ良いのかをご紹介していきます。今回の記事を参考にしながら、資産運用とどう向き合っていくか改めて考えていきましょう。
目次
コロナ禍で大きく変動した相場
2月下旬から大きく下落した「コロナショック」
新型コロナウイルスの影響は2月下旬から様々な部分で影響を及ぼすようになりました。日本の株式市場でも大きな影響が出ています。どれくらいの値動きになっていたのか、振り返ってみましょう。
まず、日経平均株価の2月21日(金)の終値が23,387円だったのに対し、翌週の25日から1週間かけて▲2,244円と約10%の下落を見せました。さらに、そこから4週間後には▲6,834円と2月下旬から約29%もの下落となってしまいました。
日銀の買い支えで2万円回復へ
大幅な下落相場となったことで3月16日に日銀では政策決定会合が緊急で開かれました。会合の結果、上場投資信託の購入額を倍増させることを公表したのです。日銀のETF買いによって3月19日の終値16,553円が底値となり、そこから日経平均株価の下落はストップしました。
その後GWまでの期間でコロナ感染による影響が一気に深刻化し、個人投資家はもちろん、海外投資家から投資信託まで大きく売りに出しています。しかし、これを日銀が買い支えたことで底値から2万円台まで回復させたのです。新型コロナウイルスの拡大懸念による相場の大幅下落が予想されていましたが、結果的に株価は上昇するという特殊な事態になりました。
経済実態と乖離した株価に
底打ちから2万円台まで回復を見せた株式相場は、5月以降から海外投資家が引き続き売る形を取り、反対に個人投資家が買っていく様子が見られました。その後22,000円超えると今度は海外投資家が買い、個人投資家が売っていきました。
本来22,000円は個人投資家が手を出すような価格水準ではありません。“コロナバブル”とも呼べる経済実態と乖離した株価になってしまっているのです。なお、6月以降も株価水準は22,000円台を推移しています。
コロナ禍でもiDeCoを始めて大丈夫?
取り組める余裕があれば将来のために始めるのはアリ
経済的に不安が残るコロナ禍ですが、このタイミングでiDeCoを始めても問題ないのか気になる方も多いでしょう。iDeCoは掛け金を自分で拠出し、積み立てて運用することで将来の年金資産を作っていきます。
コロナ禍で株価の動きが不安定になっていると運用時に元本を下回る可能性があるのではないかと不安に感じられるかもしれませんが、iDeCoの運用商品には定期預金や生命保険、損害保険などの「元本確保商品」も選べるようになっています。元本確保商品を選んでおけば投資信託と違って元本を下回ることはありません。リターンは小さくなってしまうものの、ローリスクで始めたい方におすすめです。
コロナ禍でiDeCoに加入しても問題ありませんが、取り組める余裕があるかきちんと確認してから始めるようにしましょう。例えば、コロナ禍で万が一働けなくなってもしばらく今の生活を維持できるなら問題ありません。あまり余裕がない時に無理に始めてしまい、生活に余裕がなくなってしまうのは元も子もないので注意しましょう。
加入している人は最低金額でも続けた方が良い
現在既に加入している人だと、コロナ禍の状況を見てiDeCoを止めたいと感じることもあるでしょう。しかし、iDeCoは途中で解約することは可能です。
脱退すると「脱退一時金」も支給されるようになっています。ただし、脱退一時金を支給してもらうためにはいくつかの条件をクリアしなくてはなりません。
- 国民年金の保険料免除者である
- 障害給付金の受給者ではない
- 通算拠出期間が1ヶ月以上3年以下、または個人別管理資産が25万円以下
- 企業型確定拠出年金またはiDeCoの資格喪失日が属する月の翌月から計算し、2年以上経過していない
- 企業型確定拠出年金から脱退一時金をもらっていない
上記の条件を満たし、脱退一時金を支給してもらえたとしても、保険商品で運用していた人は元本割れをしてかえって損をしてしまう場合もあります。なるべく損をしないためには、掛け金を最低金額まで減額するか、一旦運用を停止する方法も選択できます。
運用を停止していても口座の管理手数料は支払っていく必要があるので、なるべく最低金額でも運用は続けていった方が良いでしょう。
不安定なコロナ禍の相場を乗り切っていくには?
現金が確保できなければ意味がない
現在、新型コロナウイルスは世界中で感染者を増やしており、未だ治療法も確立されていません。世界経済にも大きなダメージを与え、アメリカのダウ平均株価でも約3000ドルの暴落を見せ、過去最大の下げ幅になったと言われています。
しかし、これまでに起きた経済的に不安定な状況の中でも今回の値動きはかなり特殊と言えます。なぜなら、下げ幅が大きい一方で上げ幅もかなり大きく、乱高下を繰り返しているからです。今後もしばらくは乱高下を繰り返し、落ち着きのない相場になっていくと予測できます。
こうした相場をうまく乗り切っていくためには、まず現金を確保しておかなくてはなりません。既にニュースでも大きく取り上げられていましたが、ボーナスの半減や全額カットが続く可能性が出てきました。特にコロナ禍で仕事が減ってしまった人にはボーナスのカットはかなりの痛手です。
現在保有している預金で半年~1年間の生活費を賄えるのであれば良いのですが、そうでない場合はまずiDeCoをどうするか考えるよりも、今の生活費を増やすところから考えていきましょう。特にiDeCoは運用益を受け取れるようになるのは60歳なのでピンチになっても引き出すことができません。
暴落しても焦らない
今後、新型コロナの影響で暴落する可能性も考えられます。万が一相場が暴落してしまった場合、多くの人は焦って損失を確定してしまいます。こうした“狼狽売り”は元本割れのリスクにつながるのです。
iDeCoは掛け金を積み立てながら運用していくタイプの資産運用方法です。長期的に運用することを前提に作られているため、途中で運用をストップしてしまうと損をする可能性が非常に高まります。そのため、暴落しても焦らず、長期運用を視野に入れて運用していくことが大切です。
分散投資でコツコツと運用を続けていく
新型コロナウイルスは今後、第二波・第三波が襲ってくる可能性もあります。もし襲ってきた場合は相場も二番底を迎えてしまうかもしれません。こうした相場の変化には分散投資であらかじめ備えておきましょう。
資産運用には様々な格言があり、その中の一つに「卵を一つのかごだけに盛るな」があります。これは、卵を一つのかごに盛ってしまうと万が一そのかごを落としてしまったら全部割れてしまうかもしれないことを表しているのです。
しかし、いくつか卵を分けておけばもしもかごを落としたとしても、その中に入っている卵以外は無事です。つまり、いくつか複数の商品に対して分散投資することで、リスクも分散できるという考えになります。
もし投資をする余力がありそうなら、複数の商品に分散投資してみましょう。例えば、リスクが少ない国内債権に投資してみたり、円相場が下落する恐れもあるため海外の株式や債券に投資してみたりするなど、リスクも一緒に分散していきます。
まとめ
現在もまだまだ新型コロナウイルスの影響は大きく、経済も安定していません。そんな中で将来に対して不安になり、「これからのお金」について考えた方も多いでしょう。iDeCoは毎月5,000円以上の掛け金が必要となるため、もし現在の預金に余裕があれば始めてみるのもおすすめです。
ただし、iDeCoは自分で積み立てていく年金なので、長期的な運用を前提としています。マーケットの相場に左右され、狼狽売りに走ってしまうのはもったいないです。長期的な視点でiDeCoは続けていった方が良いでしょう。