株式投資を行うときには、株価チャートの見方をマスターしておく必要があります。株価チャートはローソク足とトレンドの2つに注目することで理解を深めることができるでしょう。それぞれの読み方や投資への活かし方について解説します。
目次
株価チャートとは株価をグラフ化したもの
株価チャートとは、株価そのものや株価の推移をグラフとして表示したもののことです。証券会社では株式の銘柄ごとに株価チャートを表示し、投資に活用できるようにしています。また、株価チャート内にテクニカル分析に用いる補助線を表示させることもできるため、相場の過熱感やトレンドを知りたいときにも活用することができるでしょう。
1日、1週間、1ヶ月など様々な期間がある
株価チャートで表示される期間は、1日や1週間、1ヶ月など、ある一定の選択肢の中で自由に変更することができます。1日のうちに購入と売却を行うなどの短期的な動きを知りたいときは1日程度のショートスパンを選ぶことができるでしょう。反対に、長期にわたってどのようなトレンドが見られるのか知りたいときは1ヶ月、1年などのロングスパンに表示させます。
株価チャートを構成する2つの要素
株価チャートは「ローソク足」と「トレンド」の2つの要素だけで構成されています。さまざまな色や線が表示されており、慣れないうちは複雑そうに感じるかもしれませんが、基本となる要素はこの2つだけであるため、シンプルに理解することが可能です。慣れてきたらこの2つの要素に加えて、テクニカル分析に用いる補助線などを表記してみましょう。
1.ローソク足
ローソク足とは、その名の通り、ローソク状の図形のことです。ただしローソクとは異なり、本体部分の上だけでなく下にも芯(ローソク足においては「ヒゲ」と呼びます)がついています。ローソク足はそれ1本だけで、期間が始まるときの価格と終わるときの価格、最高価格、最低価格の4つの情報を表示できる便利な図形です。
2.トレンド
トレンドとは、ローソク足の並びから浮かび上がる一定の傾向のことです。ローソク足が右肩上がりになっているときは「上昇トレンド」、反対に右肩下がりに並んでいるときは「下落トレンド」があると判断します。上下どちらにもトレンドが見られないときは、「ボックス相場」と呼ぶことが一般的です。トレンドを把握すると、株価の傾向を知ることができます。
【株価チャートの見方】ローソク足
株価チャートを構成するローソク足について詳しく見ていきましょう。株価チャートで表示される期間を変更すると、ローソク足で表示される期間が変わります。
ローソク足は表示される期間によって名前がついており、1日の株価の変化を表示するローソク足は「日足(ひあし)」、1ヶ月の株価の変化を表示するものは「月足(つきあし)」と呼ぶことが一般的です。短期間の株価の変化を表すローソク足であれば、1分間の変化を示す「分足(ふんあし)」や5分間の変化を示す「5分足」などがあります。
売買するときは日足を参考にする
株式を売買する場合は、日足を参考にすることが一般的です。日足では、前営業日の終値(おわりね)でもあるその日1日の最初の価格「始値(はじめね)」と、その日の市場が閉まるときの価格「終値」、その日のうちでもっとも高い価格である「高値(たかね)」、反対にもっとも低い価格の「低値(ひくね)」が表示されています。
陽線
始値よりも終値が高いときは、陽線(ようせん)で表示します。株価チャートにもよりますが、一般的に陽線は赤やオレンジ、ピンクなどの暖色系で記載されていることが多いです。
陽線のローソク本体の下部は始値、上部は終値、下ヒゲの下端は低値、上ヒゲの上端は高値を指しています。終値がその日1日でもっとも高額であった場合には、上ヒゲはありません。また、始値がその日1日でもっとも低額であったときは、下ヒゲはなくなります。
陰線
始値よりも終値が低いときは、陰線(いんせん)で表示します。株価チャートにもよりますが、一般的に陰線は青や緑、水色などの寒色系で記載されていることが多いです。
陰線のローソク本体の上部は始値、下部は終値、下ヒゲの下端は低値、上ヒゲの上端は高値を指しています。終値がその日1日でもっとも低額であった場合には、下ヒゲはありません。また、始値がその日1日でもっとも高額であったときは、上ヒゲはなくなります。
大陽線と大陰線でトレンドを見る
ローソク足の並びを見ると、ローソクの本体部分が比較的長いものがいくつか見つかるでしょう。陽線の中でローソク本体部分が長いものは大陽線、陰線の中で本体部分が長いものは大陰線と呼び、トレンドをチェックする際に活用することが可能です。
大陽線が並んでいる場合は、強い上昇トレンドがあると考えられます。株式を購入するチャンスと判断することもできるでしょう。ヒゲなしの大陽線は「丸坊主」と呼び、始値が低値、終値が高値の状態です。また、下ヒゲだけの大陽線は「大引け坊主」、上ヒゲだけの大陽線は「寄付き坊主」と呼び、それぞれ終値=高値、始値=低値の状態を示します。
反対に大陰線が並んでいるときは、強い下落トレンドがあると判断できるでしょう。保有している株式を売却し、買い控えをすることが一般的です。ヒゲなしの大陰線は「丸坊主」と呼び、始値が高値、終値が低値の状態です。また、下ヒゲだけの大陰線は「大引け坊主」、上ヒゲだけの大陰線は「寄付き坊主」と呼び、それぞれ始値=高値、終値=低値の状態を示します。
小陽線と小陰線は様子見
ローソクの本体部分が比較的短い陽線は小陽線、陰線は小陰線と呼びます。陽線は基本的に価格が上昇したということを示しますが、小陽線の場合には価格がそこまで上がっているわけではないため、はっきりとした上昇トレンドとして判断することはできません。
同じく陰線は株価下落の証拠ではありますが、小陰線では価格がそこまで下がったわけではなく、はっきりとした下落トレンドと判断することは困難です。そのため、小陽線・小陰線が現れたときは、売買を行わず様子見することができます。
【株価チャートの見方】トレンド
株価チャートを構成するもう一つの要素、トレンドについても見方を押さえておきましょう。トレンドはローソク足のように具体的な線となって現れているわけではありませんが、ローソク足の並びを大きな線として把握することで見えるようになります。
トレンドをつかむと、投資の判断がしやすくなるでしょう。各トレンドを投資判断に活かす方法について解説します。
上昇トレンド
陽線が右肩上がりに並んでいるときは、上昇トレンドが出ていると考えられます。高値が1つ前のローソク足の高値よりも高く、安値も1つ前の安値よりも高い状態が続くと、今後も株価が上昇する可能性が高いと判断できるでしょう。
しかし、短期間の株価チャートだけを見て、上昇トレンドがあるかどうかは判断できません。ある程度の長期にわたって右肩上がりに株価が推移しているときは、上昇トレンドがあると考えられます。早めに株式を購入し、トレンドが転換する前に売却して利益を確定させましょう。
下降トレンド
陰線が右肩下がりに並んでいるときは、下降トレンド(下落トレンド)が出ていると考えられます。高値は1つ前のローソク足の高値よりも低く、安値も1つ前のローソク足の安値よりも低い状態が続くと、今後も株価が下落方向に動くと考えられるでしょう。
下降トレンドもある程度の期間を見てから判断する必要があります。明らかに下降トレンドが生まれていると判断できるときは、早めに株式を売却して損失を減らすか、トレンドが切り替わるまで待って購入することができるでしょう。
もみ合い(ボックス相場)
はっきりとしたトレンドが見えない相場を、「もみ合い」あるいは「ボックス相場」と呼びます。一定の価格の幅で上下に動き、上方に進むとも下方に進むとも判断することができません。
このような状態のときは取引をせずに様子見することができます。また、長期的に株価チャートを見て価格の幅がほぼ一定に固定されている場合には、下方に近づいたときに購入、上方に近づいたときに売却を行い、利益を確定することもできるかもしれません。
上昇から下降へのトレンド転換期
上昇トレンドは見られているものの、安値がトレンド内のいずれかの安値よりも低くなったときは、下降トレンドへと転換する可能性があると考えられます。
下降トレンドが生まれそうなときには上昇局面で売却する「逆張り(ぎゃくばり)」という手法を使い、損失が生じる前に利益を確定しておくことができるでしょう。まだ株式を購入していない場合は、様子見です。
下降から上昇へのトレンド転換期
下降トレンドが見られてはいるものの、高値がトレンド内のいずれかの高値よりも高くなったときは、上昇トレンドへと転換する可能性が考えられます。
上昇トレンドが生じそうなときには下落局面で購入する逆張りが有効になることが多いです。上昇に切り替わる前後に購入し、上昇に転じてから十分に価格が上がった時点で売却して利益を確定させます。ただし上昇トレンドが長く続くかは分からないため、こまめに株価チャートをチェックし、下降への転換期を逃さないようにしましょう。
まとめ
株価チャートを読むことで、投資に対するさまざまなヒントを得ることができます。特にトレンドに関しては経験がものをいうため、定期的に株価チャートを見て、トレンドや転換期を把握する訓練をするようにしましょう。
ただし、投資には予想外の出来事がつきものです。どんなに熟練した投資家でも読みを外して大きな損失を被ることはあります。経験を積んだ後も、過信せずに慎重な投資を実施していきましょう。