ダウ平均株価とは米国株の指標のひとつ!読み方と使い方を解説

アメリカの市場のイメージ

ダウ平均株価とは、アメリカの株式指標のひとつです。具体的にはどんな株式を含み、どのような特徴を持つ指標なのか、また、ダウ平均株価を使った投資の方法についても解説します。S&P500やナスダック総合指数など、そのほかの指標の特徴についても見ていきましょう。

ダウ平均株価とは?

投資のイメージ

ダウ平均株価とは、アメリカを代表する企業の株価から算出した指標です。アメリカで広く読まれている経済紙である「ウォールストリートジャーナル」を発行するダウ・ジョーンズ社が発表しているので、ダウ平均株価と呼ばれます。

日本を代表する企業の株価から算出した株式指標としては、「日経平均株価」が有名です。日本で広く読まれている経済紙「日本経済新聞」を発行する日本経済新聞社が発表している指標で、算出に用いられる225種類の銘柄の株価に合わせて変動します。

「NYダウ」と呼ぶがNY市場以外の株あり

ダウ平均株価は、「NYダウ(ニューヨークダウ)」と呼ばれることがあります。しかし、ダウ平均株価を構成する30の企業すべてが、ニューヨーク市場に上場しているわけではありません。ナスダック市場に上場している企業もあるので注意が必要です。

なお、市場は異なっても、どの銘柄もアメリカを代表する企業の株式であるという点は共通しています。

「工業株」と呼ぶが工業以外の株あり

ダウ平均株価は、「ダウ工業株30種平均」と呼ばれることもあります。しかし、ダウ平均株価を構成する30の企業すべてが工業系の企業ではありません。

例えばジョンソンエンドジョンソンなどの医療系の企業や、JPモルガンチェースアンドカンパニーなどのように金融系の企業もあります。また、比較的新しく30種類の企業に加わったセールスフォースドットコムはソフトウェア開発の企業です。

なお、ダウ・ジョーンズ社では、輸送系の企業だけを集めた「ダウ・ジョーンズ輸送株価平均」や公共系の企業を集めた「ダウ・ジョーンズ公共株価平均」などの指数を発表しています。これらはダウ工業株とは異なり、いずれも輸送系、公共系の企業だけで構成されている点に注意が必要です。

ダウ平均株価の4つの特徴

慎重な投資のイメージ

日本のニュースでも毎日ダウ平均株価の数値が発表されていることからも分かる通り、ダウ平均株価はアメリカの経済を知る上で大きな意味を持つ指標です。主な特徴としては、次の4つを挙げられるでしょう。

  1. 株価の高い銘柄の影響を強く受ける
  2. 優良株のみ含まれている
  3. 長期的に成長し続けている
  4. 不定期に構成銘柄が変更されている

1.株価の高い銘柄の影響を強く受ける

ダウ平均株価は、構成する30社の平均株価を元にした数値です。30社の株価の合計額を30で割り、さらに「除数」で割って求めます。除数とは指標の急激な変動を防ぐために設定される数値で、除数を調整することでダウ平均株価の急落・高騰をある程度抑えることが可能です。

ダウ平均株価は、株価が高い銘柄の動きに影響されやすいという特徴があります。また、わずか30社の株価だけで算出するので、一つひとつの株価の影響も受けやすいという点も注意が必要です。

なお、株価が高い銘柄のことを「値がさ株」と呼びます。値がさ株は元々の株価が高いため、急落・高騰しにくい株式です。例えば1株5,000ドルの株式にとっては、1,000ドルの変動は株価が20%も変動する大きな変化といえます。しかし1株50,000ドルの株式にとっては1,000ドルの変動は全体のわずか2%の変化のため、株価急落や株価高騰にはつながりにくいでしょう。

値がさ株のイメージ

2.優良株のみ含まれている

ダウ平均株価に含まれている30種類の株式は、いずれもアメリカ経済に強い影響を与える企業のものばかりです。具体的な基準は決まってはいませんが、社会的な評判が良く、成長していることが明らかで、投資家に取って魅力的な優良株のみ含まれています。

また、アメリカで創立していること、なおかつアメリカに本社を構えていることも、30社に選ばれる条件です。

3.長期的に成長し続けている

ダウ平均株価は、30社の株価を平均して除数で割って求める指標なので、株価の変動に合わせて上昇することもあれば、下落することもあります。

しかし、10年、20年といった長期的なスパンで見ると、一時的に細かな下落はあるものの基本的には右肩上がりの成長を続けているという点に注目できるでしょう。成長企業のみを含めているということもありますが、実際にダウ平均株価が誕生してから600倍を超える成長を見せています。

4.不定期に構成銘柄が変更されている

ダウ平均株価を構成する銘柄は、不定期に変更されているという点にも注意が必要です。企業成長や社会に対する影響力なども考慮され、その時にふさわしい30社が選ばれています。

例えば2020年9月には石油やガスなどのエネルギー系の世界的企業であるエクソンモービル社はダウ平均株価から除かれ、医薬系企業のアムジェンが新たに選ばれました。

ダウ平均株価を投資に活かす方法

コツを知るイメージ

ダウ平均株価を理解すると、ダウ平均株価を活かした投資ができます。ダウ平均株価は日本でも毎日ニュースに取り上げられているので、価格を把握しやすく、投資も比較的取り掛かりやすいでしょう。

ダウ平均株価を活かした投資方法としては、主に次の4つの手法を挙げられます。

  • ダウ平均株価と連動するETFに投資する
  • ダウとの連動を目指す投資信託に投資する
  • 「ダウの犬」を実施する
  • 「ダウの子犬」を実施する

ダウ平均株価と連動するETFに投資する

ダウ平均株価と連動するように運用されているETFに投資をすることができます。複数の株式を組み合わせてつくったファンドを運用する金融商品を「投資信託」と言いますが、ETFとは「上場投資信託」のことで、株式と同様、市場に上場して価格が変動する金融商品です。

ダウ平均株価は長期的に見れば上昇しているので、ダウ平均株価を構成する企業の株式をすべて1株ずつ購入すれば利益を得る可能性があるでしょう。しかし、いずれの企業も優良企業ばかりなので株式も高額です。1株ずつであっても30社すべて購入するには莫大な資金が必要です。

一方、ダウ平均株価と連動しているETFであれば、1株だけでもダウ平均に含まれる企業株すべてを購入したのと同様の投資効果を得られます。

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ダウとの連動を目指す投資信託に投資する

ダウ平均株価との連動を目指す投資信託に投資をすることでも、ダウ平均に含まれる株式すべてを購入するのと同様の投資効果を得られます。

投資信託は口数で購入できるので、ネット証券などであれば100円、1,000円といった少額からでも投資可能です。投資に用いる資金があまりない方や、慎重に少額のみを投資したい方も、検討できる方法といえるでしょう。

「ダウの犬」を実施する

資金に余裕がある場合は、「ダウの犬」と呼ばれる投資手法を実践することもできます。ダウの犬はダウ平均株価よりも高い利益を目指すため、積極的な投資を行いたい方にも利用されている手法です。具体的には以下の手順で実施します。

  1. ダウ平均株価に含まれている銘柄のうち、もっとも配当利回りが高い銘柄を10選ぶ
  2. その年の最終取引日に選択した10銘柄を購入する
  3. 翌年の最終取引日に10銘柄をすべて売却し、その時点でもっとも配当利回りが高い10の銘柄を新たに購入する
  4. 1~3を毎年繰り返す

「ダウの子犬」を実施する

「ダウの子犬」と呼ばれるダウ平均株価を活用した投資手法もあります。手順は以下の通りです。

  1. ダウの犬の10銘柄のうち、株価が低い5銘柄を選択する
  2. その年の最終取引日に選択した5銘柄を購入する
  3. 翌年の最終取引日に5銘柄をすべて売却し、その時点で新たに選んだダウの犬の10銘柄のうち、株価が低い5銘柄を購入する
  4. 1~3を毎年繰り返す

株価が低い銘柄を選ぶことで、株価が上がりやすくなるという効果を期待できるでしょう。また、購入する株数が少なく、なおかつ株価が低い銘柄を選ぶので、ダウの犬よりも低資金で実施できるという特徴もあります。

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ダウ平均株価以外の米国株式指標

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ダウ平均株価を詳しく理解することで、長期的に成長し続けるダウ平均株価を投資に活用することができます。

ところで、アメリカの株式指数はダウ平均株価だけではありません。その他にも、S&P500やナスダック総合指数のように世界的によく知られ、なおかつ投資に活用されている指数もいくつかあります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

S&P500

S&P500は、流動性の高い500の大型株から算出された株式指標です。ダウ平均株価とは異なり、各銘柄の株価ではなく時価総額から算出されます。

500もの企業の株式から計算されるので、30社の株式のみに絞って計算したダウ平均株価に連動するETFや投資信託に投資するよりは、S&P500に連動する金融商品に投資するほうが分散投資効果は高いといえるでしょう。

時価総額の大きな株式に左右される

S&P500は各構成銘柄の時価総額から算出された数値のため、時価総額が大きな「大型株」の動向に左右されるという特徴があります。大型株は中型株や小型株と比べると銘柄数は少ないですが、時価総額が大きく、流動性が高い株式です。

なお、ダウ平均株価と連動するETFや投資信託と同様、S&P500に連動するETFも日本で購入可能です。

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ナスダック総合指数

ナスダック総合指数とは、ナスダックの上場株式全銘柄を対象とした株式指数です。ナスダック総合指数に連動したETFもあり、投資に活用することもできます。

なお、ナスダックは新興企業向けの市場で、日本でいえばマザーズ市場やJASDAQのような位置づけです。IT系の企業が多く、ナスダック総合指数も右肩上がりの傾向にあります。

まとめ

ダウの犬のイメージ

ダウ平均株価は、アメリカの株式指数のひとつで、アメリカを代表する30社の株価によって算出されています。連動する投資信託やETFを利用すれば、少ない資金でアメリカ株に投資することができるでしょう。

資金に余裕があるときはダウの犬などの投資手法も活用できます。また、IT系の企業株が多いナスダック総合指数も、投資の際には注目したい指数です。