ロールオーバーとはNISAの非課税期間延長手続きのこと | 方法を解説

投資をする女性のイメージ

ロールオーバーとは日本語では転倒や転覆と翻訳しますが、金融の世界では決済を先送りすることを指します。特にNISAで非課税期間を延長することを指すことが一般的です。具体的にはどのようなことを指すのか、また、手続きの流れについても見ていきましょう。

ロールオーバーとは?

NISAのイメージ

ロールオーバーとは、NISAの非課税が適用される期間をさらに5年にわたって延長することです。本来、NISAでは5年間(開始した年の4年後の12月31日まで)に限り、口座内で運用中の金融商品によって生じた利益に対しては課税されません。

しかし、非課税が適用される期間が終わるまでに手続きをすると、最大5年にわたって非課税期間を延ばすことが可能です。つまり、この仕組みを活用することで、非課税の期間は最大10年間に延長されます。

ロールオーバーのイメージ

2028年以降は延長手続きができない

2028年以降にロールオーバーが発生する場合には、延長手続きができません。

なお、2024年以降はNISAは2階建て構造になります。1階は「つみたてNISA」と同様、積立タイプの投資信託やETFで、1年間に20万円までを最大5年間にわたって運用可能です。2階部分は現在のNISAと同様で、投資信託や株式を年間最大102万円、最大5年間運用できます。

つみたてNISAではロールオーバーできない

NISAには非課税期間を延ばす仕組みが構築されていますが、つみたてNISAでは延長はできません。つみたてNISAの運用に関しては、規定の期間終了後は非課税が適用されなくなります。

とはいえ、元々つみたてNISAは最大で20年間にわたって運用できる制度のため、期間を延長せずとも長期投資が可能です。NISAとつみたてNISAはどちらか一方しか利用できない制度なので、よく考えて自分に合うほうを選びましょう。

つみたてNISAのイメージ

ロールオーバーの手続き

郵送のイメージ

現在開設しているNISA口座の非課税期間が年内に終わる場合で、なおかつ運用中の金融商品を翌年以降も運用していきたいと考えている場合は、忘れずにロールオーバーの手続きをしましょう。どの金融機関においても自動的には継続されないので、以下の手順に沿って期日内に手続きをしてください。

  1. NISA口座のある金融機関に書類請求
  2. 期間内に郵送で手続き

1.NISA口座のある金融機関に書類請求

ほとんどの金融機関では、非課税期間の満了が近づくと郵便やメールなどで口座保有者に案内を送っています。案内を受け取ったら、記載されている方法に従って手続きを進めていきましょう。

案内が届かなかった場合や見過ごしてしまった場合は、NISA口座のある金融機関にロールオーバーの手続きに必要な書類を請求します。各金融機関のホームページに書類請求の案内について記載されているので確認してください。郵送で請求する場合もありますが、ホームページから申請書類をダウンロードできることもあります。

2.期間内に郵送で手続き

ロールオーバーをするためには、NISA口座を開設した年の4年後の年末までに翌年分の口座を開いていなくてはいけません。年の瀬が迫ったときに手続きをすると間に合わない可能性もあるので、手続きは郵送で行うので余裕を持って始めるようにしましょう。

なお、金融機関によっては、手続き完了の案内をしないことがあります。翌年分の口座が開設できているのか不安なときは、金融機関に直接問い合わせてみましょう。

ロールオーバーのメリット2つ

メリットのイメージ

ロールオーバーは自動的に行われないため、必要書類に記入して期間内に手続きを完了させる必要があります。とはいえ、書類請求と郵送の2ステップだけで完了するので、面倒がらずに済ませるようにしましょう。

延長手続きにより、次の2つのメリットを得られます。

  1. 金融商品を継続運用できる
  2. 120万円超を非課税で運用できる

1.金融商品を継続運用できる

ロールオーバーを実施することで、最大10年にわたって非課税で金融商品を運用できます。現在NISA口座内で運用中の金融商品の価格が着実に増えてきているのであれば、運用期間を延長することでさらに多額の利益を期待できるでしょう。

また、現在はあまり運用成績が良いとはいえない金融商品であっても、運用期間を延ばすことで形勢が変わることもあります。長期的に運用して利益増を目指すのであれば、期間内に手続きをしておきましょう。

2.120万円超を非課税で運用できる

NISAは120万円までの金融商品を非課税で運用できる口座です。しかし、ロールオーバーをする時点で運用益込みで口座内に120万円を超える金融商品が入っている場合は、その全額をそのまま翌年分の口座に移せます。

例えばNISA口座で運用している80万円分の投資信託が5年目の年末時点で180万円の価値になったとしましょう。移管できる金額に制限はないので、180万円の投資信託をを翌年から最大5年にわたって非課税で運用可能になります。

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ロールオーバーにおける6つの注意点

注意点のイメージ

ロールオーバーにはさまざまなルールがあるので、プロセスを進める前にしっかりと把握しておきましょう。基本的には非課税が適用される期間が延びるため利益につながる仕組みですが、場合によっては損失が生じたり、新たな投資の機会を減らしたりするケースもあります。

特に注意したいポイントを6つ紹介するので、ぜひチェックしてから進めていきましょう。

1.新規買い付け可能額が減る

NISAの非課税枠はいつでも120万円です。つまり、期間を延ばしたことにより買い付けられる枠が増えるわけではないため、保有中の商品があれば、新たに買い付けられる商品の金額は枠上限額よりも減ってしまいます。

例えば期間を延ばす前に40万円の株式をNISA内で保持していたと考えてみてください。延長したときに非課税枠内の金融商品の価格が50万円まで上がっているのであれば、翌年以降に買い付けられる商品の上限額は70万円です。

買い付け枠が変化するイメージ

2.投資可能額が運用益分減る

運用益が生じるのは好ましいことですが、その分、翌年以降に新しく買い付けできる商品の金額は減ってしまいます。翌年以降に買い付けられる金額を増やしたい人は、一度売却して利益を確定してから翌年度を迎えることも考えてみましょう。

例えばNISA内で保有し、すでに30万円も価格が上がった金融商品があったとします。何も手を付けない状態で期間を延ばすプロセスを実行すると買い付けを実行できる額は30万円分減ってしまいますが、年末までに売却して利益を確定しておくのであれば、翌年以降は上限枠までの買い付けを行えるでしょう。

3.新規買い付けできないケースもある

ロールオーバーした際に運用益込みで120万円を超えている場合は、新たに商品を買い付けられないという点も覚えておきましょう。

右肩上がりで価格が上昇している金融商品を保持している場合は、新たに買い付けなくても問題はないかもしれません。しかし、上昇幅が減ってきている場合や横ばいになった場合は、課税されずに保有や売却ができる期間が終了する前に売却し、利益を確定しておくことも検討できます。

4.ロールオーバーする金額は翌年まで分からない

期間を延ばすプロセスを実施したとしても、その場で翌年に持ち越される商品の金額が分かるわけではありません。翌年の口座に持ち越される金額は非課税期間が満了する年の年末時点の時価で計算されるため、実際に金額が分かるのは翌年になってからです。

なお、年末に金融商品の価格が上昇して120万円を超えた場合は、翌年の口座では新規買い付けを行えません。

5.ロールオーバーしないと自動的に課税口座へ

期間を延ばすプロセスを実施しなかった場合は、自動的に課税口座に入金されます。課税口座に入金されてしまうと、非課税投資の継続が難しくなるので注意してください。

期間を延ばすプロセスにはある程度時間がかかるので、早めに行うようにしましょう。金融機関によっても異なりますが、12月の前半に受付を締め切るケースもあります。

課税口座からNISA口座へは移管できない

一度課税口座に入金された商品については、NISA口座を別途新しく開設したとしても移管することはできません。NISA内で保持可能なのは口座内で新しく買い付けた商品だけに限られているため、長期にわたって保持したいと考えているのであれば、非課税で保持・売却できる期間が終了する前に、期間を延ばすプロセスを実施しておきましょう。

6.課税口座移管後に利益が出ると税金が発生

非課税の期間を延ばすプロセスの実施を忘れ、課税口座に移されてしまった商品に関しては、移動が生じた時点の時価を基準として利益が生じたのかどうかを判断します。

例えば、NISA口座において100万円で株式Aを購入して保持したケースについて考えてみてください。非課税が適用される期間を延ばすプロセスを忘れてしまい、株価が下がり時価が60万円になった状態で、課税口座に移されてしまったとします。

この後、株価が上がり価格が100万円まで戻ったならばどうでしょうか。この時点で売却したとするならば、移動後生じた利益40万円に対して約20%の税金が発生します。投資を始めた時点から考えれば利益は1円も出ていないため、実質8万円ほどの損失です。

まとめ

投資と女性のイメージ

非課税期間が満了するときまでにロールオーバーの手続きを行うことで、非課税で投資可能な期間を延ばせます。金融機関によっては手続き期間を早めに締め切ることがあるので、忘れずに書類申請などを行うようにしましょう。

手続きし忘れると通常の課税口座に運用中の金融商品が移管されてしまいます。一度移管された商品はNISA口座に戻せないので注意が必要です。長期にわたる運用を計画している場合は延長の手続きを、翌年以降に新たな金融商品の運用を考えている場合は売却を進めていきましょう。