新型コロナの影響により多くの国や地域で活動の自粛が起こり、世界的に経済が不安定な状態となっています。今後の見通しが立ちにくい状態ですが、これをきっかけに将来について深く考える人が増えただけでなく、個人の資産運用に興味を持った人もいるでしょう。
そこで今回は個人型確定拠出年金のiDeCoが注目されている理由や、運用においての注意点などを解説していきます。将来の資産運用を検討している人は参考にしてみてください。
目次
コロナ渦の中でもiDeCoがおすすめの理由
資産にロックをかけられる
iDeCoという名前を聞いたことがあっても、内容について知らないという人もいるでしょう。iDeCoは個人型確定拠出年金と呼ばれるものです。企業などでは福利厚生として取り入れている所も多く、60歳未満の厚生年金被保険者が対象となります。
一方のiDeCoは個人での加入となるため、60歳未満であれば会社員や公務員、専業主婦や自営業、その家族の加入可能です。iDeCoは国民年金保険の加入状況によって、毎月積み立てできる拠出限度額が変わってきます。
- 企業型確定拠出年金以外の企業年金に加入している場合:月12,000円
- 企業型確定拠出年金のみの加入:月20,000円
- 自営業者もしくはその家族:月68,000円
- 公務員:月23,000円
- 会社員:月12,000円
- 専業主婦:月23,000円
加入状況によって限度額は異なりますが、限度額内であれば自分に合わせた積立が可能であるのです。何よりも大きなメリットとなるのは、資産にロックをかけられることでしょう。これがiDeCo最大のメリットと呼べる部分でもあります。
iDeCoの積立期間は60歳までと定められているため、この期間までは積み立てた金額を引き出せません。自由に引き出せないことがメリットとは不思議に感じるかもしれませんが、いつでも引き出せると考えているとそれをあてにしてしまうこともあるでしょう。
特に今回のようなコロナ禍で経済的な不安が生じた場合は、手元に資金が欲しいと強く感じるため不便に感じるかもしれません。しかし、投資というのは時間をかけて形成していくものであり、途中で中断するのはタブーでもあるのです。その点、資産にロックがかけられるiDeCoであれば、60歳まで継続的に続けられるので解約損になりにくいということです。
大きなリターンに期待できる
iDeCoの場合、大きなリターンが期待できるのもおすすめの理由です。iDeCoでは配当や運用益が非課税対象となるだけでなく、積み立てた金額は全額所得控除の対象にもできます。そのため、毎月1万円を1年間積み立てた場合では12万円の所得控除ができるということです。
またiDeCoの場合、運用によって利益を得たとしても税金が優遇されるのも大きなメリットとなるでしょう。特に運用期間が長ければ長いほど利益を得やすくなりますが、他の投資の場合だと利益の約20%を税金として納めなければなりません。しかし、iDeCoであれば利益が出ても税金が一切かからないので、長期の運用で大きなメリットが得られます。
iDeCoの活用によって大きなメリットが得られるのは主に収入がある人なので、専業主婦よりも会社員や公務員などの方がよりメリットも感じやすいでしょう。
安い今だからこそ始めどき
新型コロナの影響によって経済が一気に低迷傾向となり、経済に活気が失われてしまった今、株価なども下落傾向となっています。今までであれば、このような経済状態に陥ってしまうと多くの個人投資家が離れていったのですが、最近はiDeCoなどにシフトチェンジする人も増えているようです。
前回、経済が低迷した時はリーマンショックの頃でしたが、その時にはこのような現象にはなっておらず、今回は今のような安いタイミングだからこそ始めようと考える人が増えてきたようです。現在は誰がみても経済が落ち込んでいる時期であることがわかり、さらに銀行の定期預金金利も0.00数%となっているため預金で増やすことができないのは明確でしょう。
安い時だからこそ始めやすいタイミングであるともいえるので、この機会にメリットの多いiDeCoが注目されているということでしょう。
株価が下がった時に注意したいこと
途中でやめないこと
上記では株価が下がっているタイミングこそ、iDeCoを始めるベストなタイミングであると紹介しました。今回下がったタイミングでiDeCoを始めたとしましょう。しかしiDeCoは60歳まで解約できないため、自然と長期的な運用をしなければならなくなります。
長期の運用期間中、もしかしたら今回のコロナ禍のように経済が急激に落ち込んでしまう時期に遭遇するかもしれません。またiDeCoを開始してすぐにさらななる経済の落ち込みがあるかもしれませんし、将来のことは誰も予測できないのです。
iDeCoはシンプルに投資を継続し、長期的なリターンを得るものであるため、上がったり下がったりという市場にいちいち反応しないようにしましょう。長い目でみたら成長する経済に注目して、上がったり下がったりを経験することが運用利回りを高まらせてくれるのです。
下がった時にはどうしても不安になるのは仕方ないのですが、下がったタイミングに途中でやめないようにしましょう。
将来性のないものには投資しない
iDeCoでは、様々な投資商品があります。そこで選ぶのは、将来性があるかどうかです。例えば、今回のようなコロナ禍の中でもS&P500などの時価総額加重平均型の株価指数や米国株、ニューヨークダウなどの指数を参考にして投資対象を見極めてみましょう。
最初から指数を参考に選ぶのは難しいという場合は、どこの国がどのような資産に投資しているのかを確認するだけでも十分でしょう。投資信託を大まかにジャンル分けするとこのようなものになります。
【日本】
・債権:国内債権
・株式:国内株式
【先進国(アメリカ・イギリスなど)】
・債権:先進国債権
・株式:先進国株式
【新興国(中国・ブラジル・ロシアなど)】
・債権:新興国債権
・株式:新興国株式
日本をはじめとする債権はリスクやリターンも低くなりますが、日本の株式、先進国株式、新興国株式の順でハイリスクハイリターンになりやすい傾向です。注目しているものや将来性に期待したいものを選び、それに伴うリスクやリターンを考慮して判断してみましょう。
購入や運用コストの低い投資信託を選ぶ
iDeCoを始める際には株価の低いものに注目してしまいがちですが、購入や運用の際のコスト面にも注目して選んでみましょう。iDeCoを始める際には、証券会社や銀行で専用の口座開設が必要となり、口座開設や維持のための手数料がかかってきます。
口座開設手数料はどこでも同じ金額ですが、運用や維持のための手数料は金融機関によって差があります。長期保有しなければならないiDeCoでは、この金融機関選びも重要なポイントであり、運用コストを抑えるためにも低いものを選びましょう。
余裕があればつみたてNISAとの併用も
iDeCoと同じように注目されているのがつみたてNISAですが、実は似ているようでも特徴が異なっています。iDeCoは個人型確定拠出年金であり、つみたてNISAは少額から始められる長期・積立・分散投資支援のための非課税制度です。iDeCoは厚生労働省の管轄で、つみたてNISAは金融庁の管轄なので全く別のものとなります。
iDeCoは年金の補助積立のようなものであり税金面で優遇されますが、つみたてNISAでは配当や譲渡益などが非課税になり、所得控除はされません。投資金額もiDeCoは年金の種類によって金額が変わる一方で、つみたてNISAは年間40万円まで2037年までなら可能という期限が設けられていて、両方を使い分けることでそれぞれのメリットが活かせるでしょう。
全く違う制度であるため併用も可能なので、余裕があれば併用してみても良いでしょう。
まとめ
コロナ禍で経済の先行きが不安な中、将来のことを考えると早めに何かしらの行動を起こしておく必要があるでしょう。iDeCoであれば、60歳未満が条件によって利用範囲が決まってしまいますが、将来の備えとしても十分だと考えられます。
また株価が下落傾向の今はスタート時期に最適ではあるものの、慎重な選び方が求められる時でもあります。また、つみたてNISAとの併用によってより効果的な運用が可能でしょう。