新NISA制度によってジュニアニーサは終了!そのメリットデメリットとは?

電卓と子供服

2019年に発表された2020年度の税制改正大綱で、新NISA制度への移行と共にジュニアNISA(ジュニアニーサ)の廃止が決まりました。ジュニアNISAの廃止によって、今後どのような変化が起きるのか不安を感じている方もいらっしゃるでしょう。

そこで今回は、

  • ジュニアNISAとは何か?
  • ジュニアNISAの廃止によってどうなる?
  • ジュニアNISA廃止のメリットデメリット

を中心に詳しくご紹介していきます。ジュニアNISAの廃止について知りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。

ジュニアNISAとは?

NISAと書かれた黒板と、積み立てたコインから出た芽

子どもの将来に向けた資産形成を行うための非課税制度

そもそもジュニアNISAとは、2016年から始まった子どもの将来を支えるために作られた非課税制度です。資産形成を行う場合、運用商品には税金がかかってしまうため一般家庭での投資を行うハードルが高くなってしまいます。そこで資産形成をより多くの人が取り組みやすくするように、NISA制度が確立されました。

ジュニアNISAの特徴

NISA制度には一般NISAとつみたてNISA、そしてジュニアNISAがあります。ジュニアNISAは日本に住んでいる0歳~19歳の未成年を対象に利用できる制度です。

上場株式や投資信託、ETF、REITなどが対象商品となっており、これらによって得た利益は最長5年間非課税対象となります。基本的に口座名義は子どもや孫などの未成年者になりますが、実際に運用・管理を行うのは親権者などです。

未成年者本人が売買注文を行うことも可能ではありますが、売買するたびに親権者などから同意を得ないといけません。他にもジュニアNISAには様々な特徴があります。

非課税投資枠は年間80万円まで

いくら非課税対象と言っても1年で投資できる枠には上限が設けられています。ジュニアNISAの場合、年間80万円まで投資することが可能です。非課税期間は最長で5年間なので、最大400万円を非課税で投資に活用できます。

子どもが18歳になるまで払い出しは原則NG

ジュニアNISAは子どもの将来に向けた資産形成を行うことを目的とした制度です。そのため、子どもが18歳になるまでは口座から運用で得た資金を払い出しすることができません。

なお、20歳まで払い出しを行わなかった場合、一般NISAの口座が自動的に開設され移し替えられます。一般NISAになると年間の非課税投資枠が120万円に増えるため、さらなる運用が可能になるでしょう。

ロールオーバーは可能だが、継続管理勘定には注意が必要

ジュニアNISAでは5年間の非課税期間が終了した時、商品を課税口座へ移すこともできますがそのまま非課税枠へ移行するロールオーバーも可能です。例えば2018年から5年間運用してきた場合、翌年の2023年から2027年年初までの間はロールオーバーをしておけば非課税のまま保有できます。

また、継続管理勘定へと移して20歳まで非課税で運用を続けることは可能ですが、継続管理勘定だと売却はできても新たに買い付けができなくなるので注意しなくてはなりません。

2024年より新NISA制度が開始!ジュニアNISAはどうなる?

街で悩む男性のシルエット

新NISA制度とは?

2024年から始まる新NISA制度では、現行の一般NISAやつみたてNISAで変更点がいくつか発表されています。例えばつみたてNISAだと新たに投資できる期間は2037年となっていましたが、5年延長されて2042年になりました。一般NISAでは投資できる期間の5年延長に加え、投資枠が2階建てになって積み立てとスポットの両立もできるようになっています。

現行の一般NISAから新NISAへの移行は複雑な点も多いと言われています。特にロールオーバーでは手続きに期限があることや取得価額が変わってしまうことなどもあるので、制度について十分な理解が必要となってくるでしょう。ただし、まだ法案が完全に固まったわけではなく、今後2023年末までに内容が変更される可能性も考えられます。

ジュニアNISAは終了する!

ジュニアNISAは新NISAへの移行と同時に廃止されることが決まっています。廃止される理由は、18歳まで払い出しができないため使い勝手が悪かったり、そもそも利用する人が少なかったりするなどの問題点が影響していると考えられます。

今回の改正で廃止が決定したジュニアNISAですが、廃止に伴いいくつかのメリットデメリットが浮かび上がってきました。どのようなメリットデメリットがあるのか、確認していきましょう。

ジュニアNISA廃止のメリットデメリット

メリットとデメリットと書かれた黒板

メリット①:2024年1月1日以降は払い出し制限が解除

ジュニアNISAの廃止によって得られる一番のメリットは、廃止が決定した2024年1月1日以降になると払い出し制限が解除されていつでも払い出しできるようになるという点です。これまでは子どもや孫が18歳にならないと払い出しができず、そのまま保有するしかありませんでした。

例えば2018年に10歳を迎えた子どもの名義でジュニアNISAを開設した場合、最長5年までなので2023年には非課税での運用が終わってしまいますが、子どもはまだ15歳なので払い出しができません。さらに3年後の2026年になってようやく払い出しができるようになります。

しかし、今回のジュニアNISAの廃止によって2024年以降は払い出し制限が解除されるため、子どもはまだ16歳ですが運用利益を払い出しできます。しかも払い出しを行っても課税対象からは外れるので、これまでよりもお得感が増したと言えるでしょう。

メリット②:5年の非課税期間後も未成年者ならロールオーバーで継続可能

2つ目のメリットは、5年間の非課税期間が終了しても未成年者であればロールオーバーで継続できるという点です。20歳を超えるまでに非課税管理勘定や継続管理勘定へ金融商品を移管しておけば、そのまま非課税期間を継続できるようになっているため、保有を続けていても突然課税対象になるといったトラブルも起こりません。

メリット③:新NISAへの引き継ぎも可能

20歳以降になると一般NISAへの移行が可能となりますが、ジュニアNISAが廃止される2024年~2028年までは新NISAの2階部分の投資枠へ移行できるようになります。つまり、払い出しも可能ですし新NISAへの引き継ぎもできるということで、その時の状況に合わせて色んな選択肢から最適なものを選べるのです。

デメリット①:長期保有のうまみが少なくなる

ジュニアNISAが廃止されることによりメリットはあるものの、長期保有のうまみが少なくなるというデメリットはあります。2020年現在で口座を開設したとしても、2023年12月末で廃止になってしまうため投資期間は3年に絞られます。これまでのジュニアNISAなら最長5年間運用できたのに、3年までしかできないとなると複利効果が薄れてしまうかもしれません。

ただし、一般NISAへの移行も考えているのであれば、今からジュニアNISAの口座を開設してもそのまま長期保有のうまみが得られるようになります。しかも一般NISAはジュニアNISAと対象商品がほとんど変わらないため、移行もしやすいでしょう。

まとめ

今回はジュニアNISAの特徴と2023年末に廃止されること、廃止によってどんなメリットデメリットがあるのかご紹介してきました。ジュニアNISAは子どもの将来に向けた資産形成のために作られたものですが、不便な面もあったため、一般NISAやつみたてNISAに比べて口座数や買付額はかなり少なかったことが分かっています。

しかし、ジュニアNISAが廃止されることによって不便性がなくなり、現段階で口座開設を考えている方が多いのも事実です。今回ご紹介したメリットデメリットについて理解し、ジュニアNISAが廃止されてからどうするかも考慮しながらジュニアNISAを利用するかどうか検討してみてください。