資産運用には、必ずしも高額な資産が必要なわけではありません。実際のところ、10万円程度の少額からでも資産運用を始めることは可能です。
たとえ10万円であっても資産運用をすべき理由と具体的な方法、少額に向かない投資方法について紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
10万でも資産運用するべき2つの理由
10万円の余剰資金があれば、何に使いたいと思いますか。ちょっと気になっていたバッグやアクセサリーを買うのも良いですが、気の置けない友人と旅行に行くのも楽しそうです。
しかし、まだ使い道が決まっていないのなら、資産運用を始めてみてはいかがでしょうか。10万円を資産運用することで、次の2つのメリットを得られます。
1.「お金を働かせる」経験が得られる
お金をそのまま置いておいても、勝手に増えることはありません。自宅に置いておけば盗難のリスクはありますが、10万円がいつの間にか20万円になっているというような奇跡は起こらないでしょう。
しかし、資産運用をすればお金自体が働いて自分で増えてくれます。例えば配当利回り5%の株式を10万円分購入すれば、年に4,000円ほど(税引き後)の配当金を受け取れるでしょう。株主優待のある株式ならば、毎年定期的にクーポンや商品としてプレゼントを受け取ることもできます。
年間10万を10年間投資するといくらになる?
1年に10万円ずつ貯めると、10年後には100万円になります。しかし、お金を働かせるならどうでしょうか。
例えば年利5%の金融商品に毎月8,333円(年間10万円)ずつ積み立てたとしましょう。10年後には1,293,967円にもなります。お金を働かせることで、受取額に30万円弱もの違いが生まれるのです。
お金を働かせないリスク
お金を働かせないということは、資産が増えもしなければ減りもしないことではありません。例えば10年前に10万円で購入できたものを今でも10万円で購入できるでしょうか。
パソコンや一部の家電などを除き、ほとんどのものは10万円以上の価格になっているでしょう。つまり、消費税率や物価上昇などの影響を受け、お金をそのまま置いておくということはお金を減らしていることになるのです。
例えば政府では物価上昇の目安を2%としています。反対に言えば、年2%以上に資産を増やさない場合は、実質的な資産価値は減っているとも考えられるのです。
経験不足のリスク
資産運用をすれば必ず資産が増えるというわけではありません。何十年も投資をしている投資家も読みを外すことがありますが、経験不足の初心者であれば読みを外す可能性はより高いでしょう。
しかし、初心者だからといって投資をしないのでは、いつまで経っても資産運用できません。その結果、実質資産は目減りしていく一方でしょう。
将来の物価上昇に備えるためにも、投資をして将来に備えることが大切です。なくなっても構わないと思える余剰資金を使い、少しでも早く投資を始めて、投資経験を積むようにしましょう。
2.今後の資産形成のきっかけづくりになる
10万円という資金は、投資を始めるには少ない額ではありますが、資産形成を始めるきっかけになります。前述の通り、大切なのはとにかく投資を始めてみることです。
投資を始めないことには、リスクやリターンに対する考え方・方針も定まりません。投資を始めることで、どれくらいのリスクを許容できるか、どのくらいのリターンを望んでいるのかがはっきりするでしょう。
一般的に投資はリスクとリターン(利益)が比例関係にあるため、ローリスクで投資をするならばリターンは低く、ハイリスクの投資手法を選べばハイリターンを期待できます。
堅実に投資をするならばできるだけリスクが低い投資手法を選ぶ必要がありますが、ローリスクでもある程度の利益を見込むならば、相当の資本を投入しなくてはなりません。10万円をきっかけとして資産を増やし、増やした資金を元手としてさらに増やしていきましょう。
10万で始められる資産運用3つ
10万円で始められる資産運用の方法を3つ紹介します。いずれも投資初心者にとって運用しやすい商品ですので、まったくの未経験の方にもおすすめです。
最も身近な「日本」に投資する「国債投資」
「10万円と言えど、絶対に減らしたくない」という方には、国債がおすすめです。国債は原則として元本保証型の投資のため、途中解約して手数料を差し引かれるというようなことにならない限り、運用後は10万円以上を受け取れます。
個人向け国債は1万円以上上限なしで購入できるので、定期預金代わりに預けることもできるでしょう。
10万あればミニ株も可能!ただし注意点あり
株式は通常100株単位で購入するため、株価1,000円を超えるものは10万円の予算では購入できません。1,000円未満の株式もありますが、購入したい銘柄がないという可能性もあるでしょう。
予算内で1,000円を超える株価の株式を購入したい方は、「ミニ株」を利用することもできます。ミニ株とは「単元未満株」とも呼ばれ、通常の売買の最小単位(100株であることが一般的。単元株という)よりも少ない株数で購入することです。
証券会社にもよりますが、1株単位で購入できることもあります。10万円の予算内で購入できる分だけを購入し、株式投資を始めてみてはいかがでしょうか。
ただし、ミニ株は通常の単元株とは異なり、売買を申し込んだタイミングで価格が約定しないというリスクがあります。そのため、株価が上がったタイミングで売却しても、実際に売却が確定されるのは株価が下がった後ということにもなりかねません。
また、証券会社によってはミニ株の手数料が通常の単元株取引よりも割高なこともあります。購入する前に必ず手数料についても確認しておきましょう。
投資信託なら少額から始められる
株価によって最少投資資金が決まっている株式とは異なり、投資信託は100円以上1円単位(証券会社によっては1万円以上1円単位)で購入できるので、希望する金額だけを投資できます。10万円で2つ、3つの銘柄を運用することもでき、少額であってもリスク分散することが可能です。
ほとんど儲からないものも……
投資信託は、複数の株式や債券を組み合わせて「ファンド」としてまとめて運用するスタイルの投資商品です。そのため、基準価額(投資信託の価格)が株式より安定している傾向にあり、初心者でも比較的運用しやすいでしょう。
しかし、価格が安定しているとは、裏返せば、利益が出にくい商品であるとも言えます。どのファンドを選ぶかにもよりますが、信託報酬などの手数料が必要なこともあり、商品によってはほとんど利益が出ないものも少なくありません。
買付手数料と信託報酬の目安
投資信託を購入する際に買付手数料が発生することがあります。一部のネット証券等では買付手数料を無料にしていることもあるため、口座開設前に確認しておきましょう。
また、投資信託ではファンドごとに信託報酬が定められているため、売却する際には利益から手数料として差し引かれます。
ファンドによって信託報酬の割合は異なりますが、年2%程度のものもあり、値上がり率が低い場合は利益よりも手数料のほうが高いということにもなりかねません。
10万でやるべきではない資産運用4選
予算10万円では難しい投資商品もあります。また、リスクが高いために、少しの読み違いで10万円が一瞬でなくなる投資商品もあるでしょう。10万円では難しい資産運用方法を4つ紹介しますので、ぜひご注意ください。
1.10万では太刀打ちできない個別株
前述の通り、株式で個別銘柄を購入する場合は、通常は100株単位で購入することになります。株価20,000~30,000円のものもありで、多くの株式は10万円の予算では購入することができません。
個別株に投資をしたい場合は、20万円~30万円ほどの予算を用意しておきましょう。
2.10万を即溶かすFX
株式や投資信託は元本保証型の投資商品ではありません。しかし、企業が破産して株式の価値がなくなるなどの最悪の事態が起こったとしても、投資した金額(この場合なら10万円)を失うだけで済みます。
しかし、FXは投資額よりも損失額が大きくなる可能性がある投資商品のため、失敗すると10万円全額がなくなるだけでなく、FX会社に対して数万円、数十万円の負債を抱えることにもなりかねません。
リスクが高すぎるので、特に投資初心者はしないほうが良いでしょう。
3.投機性の高すぎる仮想通貨
仮想通貨もFXと同じく投入する資金以上の運用が可能なレバレッジ型の投資です。価格が上昇するならば高利益をもたらすので良いのですが、価格が下落する場合は、投入資金以上の損失が生じることもあります。
資産運用のはずが負債を抱えることにならないためにも、10万円の予算は別の投資商品に用いるようにしましょう。
4.もはや資産運用ですらないバイナリー
バイナリー(バイナリーオプション)とは、為替レートが上がるか下がるかを予想して資金を投入するタイプの投資商品です。二者択一で投資できるので、初心者にも取り組みやすく感じるかもしれません。
しかし、手数料が高く、為替レートが少々変化しただけでは利益が上がらないことも少なくないのが実態です。また、ゲームのように簡単にチャレンジできるため、あっという間に10万円がなくなる恐れもあります。
10万ではじめるなら長期・分散・積立がおすすめ
10万円で資産運用を始めるときは、長期・分散・積立の3つを意識することが大切です。しかし、なぜ3つのポイントを意識することが、ローリスクの投資を続けることにつながるのでしょうか。時間・分散・積立にわけて解説します。
時間をかけるとリスクが下がるから
「短期間で高利益を得たい」と考えるのは自然なことです。しかし、短期間で高利益を得るということは、短期間で高損失が生じる可能性があるとも考えられます。
つまり、短期間で利益を求めるほどリスクは高くなるので、少しでもローリスクで運用するためには、時間をかけて運用するのがいいでしょう。
資産クラスの分散でリスクが下がるから
一つの商品に全資金を投入すると、その商品の価格が下落した場合は損失をダイレクトで受けることになります。
また、株式ばかりに投資をしてしまうと、株式相場全体が下がっているときにはすべての保有銘柄の価格が下がることにもなりかねません。資産クラス(投資対象の種類)をいくつかに分散し、リスクを下げるようにしましょう。
積み立てでリスクが下がるから
投資信託などの価格が変動する投資商品は、まとめて購入すると割高なタイミングで購入する恐れがあります。積立投資ならばまとめてではなく何度かに分けて購入するため、割高なタイミングに多額を投資するというリスクを回避しやすくなるでしょう。
まとめ
10万円の投資資金が手元にあるならば、とにかく資産運用を始めてみましょう。投資について学べるだけでなく、利益を得られる可能性もあります。自分の資産を自分で守るためにも、ぜひご自身に合う投資方法で運用を始めていきましょう。