将来のために資産運用を考えている方は、自動資産運用サービスについても知っておくとよいでしょう。自動資産運用はこまめな管理や資金移動が不要で、手軽に資産運用できるサービスです。どのような特徴があるのか、また、仕組みやどのような人に向いているのかについて見ていきます。
自動資産運用とは?
自動資産運用とは、運用したいお金を預けるだけで、投資商品の銘柄の選定から購入、管理、売却、見直しなどをワンストップで行うサービスです。
運用状況について定期的に報告を受け取りますが、投資家自身は特に自発的にアクションを起こす必要もありません。手間をかけずに資産運用をしたい方向けのサービスといえるでしょう。
運用方針は長期・分散・積立
自動資産運用サービスを利用した資産運用では、長期・分散・積立の3つを運用方針としていることが一般的です。そのため、まとまった資金がない方でも、月々10,000円程度から資産運用を始めることができます。
ただし、自動資産運用サービスによっては積立額とは別に初期投資額が設定されていることがありますので、申し込む前に確認しておきましょう。
投資家のリスク許容度を反映
具体的な商品の選定は自動資産運用サービスに一任しますが、「どの程度までのリスクを許容できるか」に関しては、投資家自身が運用開始前に決めなくてはいけません。
ハイリスクではあってもハイリターンが見込める積極的な投資を希望するのか、リターンは少なくてもリスクをできるだけ低くしたいのか、はたまた資金の半分程度をハイリスクハイリターン型で残りをローリスクローリターン型で運用したいのか等、さまざまなパターンから選択できる仕組みになっています。
自動資産運用の5つのメリット
資産運用にはさまざまな方法がありますが、その中でも自動資産運用サービスを利用することには数多くのメリットがあります。特に注目したい5つのメリットについて見ていきましょう。
1.手間をかけずに資産運用できる
自動資産運用サービスは手間がほとんどかからない資産運用方法です。一般的に、資産運用は手間がかかります。投資商品を選定して、どの程度の数量を購入するのか決定し、価格が割安なタイミングを見計らって購入し、また、タイミングを見計らって売却して利益を確定させなくてはいけません。
複数の投資商品を運用しているならば、それぞれの商品において選定・購入・管理・売却の手間が発生します。しかし、自動資産運用サービスに任せるならば、商品を決めて購入・管理・売却を行うことが可能なため、投資家自身は何もする必要はありません。しかも、自動資産運用は原則として分散投資をするサービスなので、複数の投資商品を同時に管理します。手間をかけずに資産運用をしたいと考えている方にも、自動資産運用は適したサービスといえるでしょう。
さらに、自動資産運用サービスは定期的なリバランスを行ってくれます。リバランスとは、一度決めた投資配分が崩れたときに、資産の再配分を行い当初の配分比率に修正することです。投資商品は刻々と価格が変わるため、最適だと思って投資配分を決定しても、時間の経過とともに資産のバランスが崩れてしまうため、定期的なリバランスが欠かせません。バランスが崩れたときは価格が下がっている投資商品を売却したり、反対に価格上昇中の投資商品を購入したりすることでバランスを調整する必要があるのです。自動資産運用ではこのリバランスを自動的に行うように設定することができます。
なお、投資商品を購入・売却するときにはその都度手数料が発生しますが、自動資産運用サービスでは運用手数料に含まれているため、売買手数料を別途請求されることがありません。手数料が気になってこまめな運用ができない方にも、自動資産運用は向いているといえるでしょう。
2.世界中の金融商品に分散投資できる
投資によるリスクを軽減するためにも、複数の金融商品に資産を分散することは必要です。例えば投資信託1銘柄にすべての資産を投入しているならば、その銘柄の価格が大暴落すると試算は大きく目減りしてしまいますが、複数の銘柄に分けて資産運用しているならば、ある銘柄が下がっても別の銘柄の価格が上がればトータルで損失を軽減することができるでしょう。
しかし、ひとつの国の金融商品だけに資産を分散している場合は、その国の経済が危機状態に陥ったときはすべての金融資産の価値が大暴落する恐れがあります。
自動資産運用は世界中の金融商品に資産を分散させて投資するため、ある国の経済が壊滅状態になっても、別の国の金融商品で利益を上げることが可能です。少しでもリスクを軽減したい方も、また、外国の金融商品に興味はあるけれど難しそうで手が出しにくいと考えている方も、自動資産運用を活用して世界規模の分散投資が行えるでしょう。
3.長期的に運用できる
自動資産運用は途中で解約しない限り長期的に運用できるサービスです。自分で資産運用する場合は、「今月は家計が厳しいから」と投資を控えたり、「子供の授業料が必要だから」とまとまった資産を引き出したりすることがありますが、自動資産運用ならば自動的に口座から資金を引き下ろして積み立てていくので、少々のことがあっても資産運用を続けることができるでしょう。
4.運用方針の見直しもスマホやアプリでできる
自動資産運用はオンラインで利用するサービスのため、パソコンやスマホさえあれば利用できます。また、専用のアプリを構築している自動資産運用サービスもあり、より便利なツールを使った資産運用を行うことが可能です。
運用状況のチェックや運用方針の見直しも、すべてスマホやアプリを通して行えますので、通勤時間などのちょっとした時間を活用して資産運用を実施することができるでしょう。忙しくて資産運用の時間を取れない方にも、自動資産運用は利用しやすいサービスです。
5.NISAを利用できるサービスもある
自動資産運用サービスの中にはNISAに対応しているものもあります。NISAは利益が非課税になる制度で、年間120万円までの資金を運用することが可能です。NISA口座は一人一口座のみ開設できるので、まだ開設していない方は自動資産運用サービスで運用することも検討できるでしょう。すでにNISA口座を開設している方は金融機関変更の手続きが必要ですが、年内にすでにNISA口座を活用して運用した場合は、金融機関を変更できるのは翌年以降になります。
自動資産運用の3つのデメリット
手間も時間もかけずに資産運用できる自動資産運用サービスですが、注意すべき点があります。自動資産運用を利用する際に知っておきたいデメリットを3つ紹介しましょう。
1.手数料が発生する
自動資産運用サービスでは、金融商品の売買等の各取引においては手数料が発生しません。しかし、運用手数料として預かり資産に対して年数%程度の手数料がかかる点に注意しておきましょう。
とはいえ、各取引の手数料がかからない分、何度もリバランスや売買を行っている場合はトータルで見れば個人で資産運用するよりもお得なケースもあります。
2.最低投資額が高めのことがある
自動資産運用サービスごとに最低投資額が決まっています。オンラインに特化した自動資産運用サービスならば十万円程度から利用できることがありますが、銀行や証券会社のサービスの場合、最低投資額が数百万円以上のこともあるので注意が必要です。
なお、オンライン型の運用手数料は比較的低額ですが、銀行や証券会社のサービスは高めのことがあります。事前に確認しておきましょう。
3.元本割れの可能性がある
自動資産運用サービスは元本保証型のサービスではありません。そのため、運用状況によっては、元本割れする可能性があります。ローリスク型の運用方針を選んだ場合でも元本割れリスクは避けられないので注意しておきましょう。
また、利益が出ても運用手数料よりも低い割合の場合は、手数料と相殺されて実質的には資産が減る可能性があります。運用がうまくいかない可能性も考え、運用手数料が低く設定されているかどうかも事前に確認しておきましょう。
自動資産運用はどんな人におすすめ?
自動資産運用サービスにはメリットもありますがデメリットもあるため、すべての方におすすめの資産運用方法ではありません。おすすめの人の特徴を3つ紹介しますので、該当するかどうかチェックしてみてください。
こまめな運用が苦手な人
資産運用はしたいけれど、こまめに運用状況を確認して売買することは苦手だという方には、自動資産運用サービスはおすすめのサービスです。最初に運用方針を決めるだけであとは基本的にお任せなので、手間をかけずに資産を運用することができます。
長期間使う予定のない資産をお持ちの人
自動資産運用サービスでは、長期間の運用が可能です。特に使う予定のない資産を持っている方は、自動資産運用サービスに預けてみることを検討してもいいでしょう。
また、自動資産運用サービスでは利益を再投資することができるため、長期間運用することで複利効果を得られます。資産を効率よく育てていきたい方にも、自動資産運用サービスは適しているといえるでしょう。
ロボアドバイザーに興味がある人
自動資産運用サービスでは、運用方針や売買のタイミングはAIを用いたロボアドバイザーが判断します。人間が運用する場合は、どうしても思い込みや好みが反映されてしまいますが、ロボアドバイザーならば過去の実績に基づいて運用方針を決めるため、客観的な運用が可能です。ロボアドバイザーに興味がある方も、自動資産運用サービスを利用することができるでしょう。
まとめ
資産運用はしたいけれど投資に自信がないという方は、自動資産運用サービスの利用を考えてみてもいいでしょう。オンライン型のサービスを選べば初期投資額や手数料が低く設定されているため、まとまった資金がない方も運用可能です。ただし、サービスごとに手数料や最低投資額が異なるので、いくつかのサービスを比較して検討するようにしましょう。