何を基準に選ぶべき?iDeCoでの商品選びとそのコツ

札束と積み上げられたコイン

老後に備え、資産形成が可能な個人型確定拠出年金「iDeCo」は自分で運用方法を選べます。投資信託に慣れている人であればとても有難い制度なのでしょうが、投資に不慣れな初心者にはハードルが高く感じられるのも事実です。老後の資産形成はしておきたいけれども、具体的にどんな商品を選んだらいいのかわからない、そんな人のために今回はiDeCoでの商品選びとそのコツ、初心者におすすめの商品をご紹介します。

iDeCoは自分で運用方法を選べる私的年金制度

コインから出る芽

元本確保型

毎月一定の掛け金を支払い、その資金の運用先や運用方法を自分で選べる個人型確定拠出年金のiDeCoですが、その運用先には定期預金や保険といった元本が保証された商品があります。定期預金とは毎月の掛け金を預け入れるだけで、あらかじめ決められた金利で運用され、受取時に元本と利息が受け取れるというものです。生命保険の他に損害保険などの商品もある保険の場合は、元本と利息の他に、商品によっては配当金が得られるものもあります。

定期預金も保険も金利に変動がないため元本割れのリスクもなく安全に運用できますが、金利自体がとても低いため、老後の生活資金とするのは難しいでしょう。

元本変動型

あらかじめ決められた金利による利息が約束されている定期預金や保険と違い、運用次第で大きな収益が得られるのが元本変動型の投資信託です。投資信託とは、投資家から集めた資金を運用のプロであるファンドマネージャーが国内外の株式や債券に分散投資してその利益を投資家へ配当する仕組みです。

価格変動のある商品に投資を行うため、元本の保証はありませんが、運用次第で元本確保型よりも資産を増やすことができます。そのため、老後の資産形成のために元本変動型を運用する人が多いのです。

商品選びのコツとは?

パソコン画面上の株価チャート

リスクとコストを抑える「インデックス型」が安心

iDeCoでは投資信託を行うのが資産形成に有効だとわかっていても、具体的にどういった基準で選べばいいのか迷うものです。まずは低リスクのインデックス型をご紹介しましょう。

一つの分野や企業に投資するよりも市場全体に投資できるインデックス型はiDeCoのような長期投資や初心者に適しています。インデックス型とは、ベンチマークと呼ばれる参考指標に連動した値動きを目指す運用をする投資信託のことで、国内株式であればTOPIX(東証株価指数)や日経平均株価などが設定されていることが多いです。インデックス型を選ぶ際はこのベンチマークと投資信託の値動きの差が少なく、なおかつ多くの資産に投資できるものを選ぶといいでしょう。

投資初心者なら「バランス型」もおすすめ

インデックス型と並び、投資初心者や低リスクで手堅い資産運用をしたい人におすすめできるのがバランス型です。バランス型とは株式や債券、REIT(不動産投資信託)などの金融資産に分散投資する投資信託のことです。

資産の種類やその配分などは運用会社によって違いますが、リバランスと呼ばれる市場の状況に合わせて自動的に最も収益が得られやすい配分に組み替えを行ってくれるので、1つの商品で分散投資ができるバランス型は投資初心者におすすめです。

信託報酬は定期的にチェックが必要

投資信託をしていると必ず発生するのが信託報酬です。運用管理費とも呼ばれる信託報酬は、投資信託の利用料のようなもので、投資信託を持っている間は毎日自動的に差し引かれます。

信託報酬の額は投資信託の種類や運用する会社によって異なりますが、分散投資を行い運用に手間のかかるバランス型は一般的に高めといえます。信託報酬の算出方法は投資信託の規模の大きさを表す純資産総額に対して一定の割合をかけた金額となり、割合の目安としてはインデックス型なら0.15~0.18%、バランス型なら0.17~1.20%が一般的です。

バランス型よりは信託報酬が安いとされるインデックス型では年々競争が激しくなってきており、安い信託報酬を設定する商品が続々と登場しています。そのため、選択時は信託報酬が安かったはずの商品がいつの間にかコスト高になっていることも珍しくありません。そういったロスを防ぐためにも信託報酬は定期的にチェックする必要があるでしょう。

iDeCoは配分変更やスイッチングが自由に行える

iDeCoは毎月の掛け金を自分で運用できる個人年金制度のため、例えば定期預金と投資信託を半分ずつ、といったように配分も自分で決められます。また、スイッチングと呼ばれる商品の入れ替えも自由にできるので、投資の運用に慣れてきたら定期預金の割合を少し減らして投資信託の割合を増やしたり、投資信託の内容についてもインデックス型からより積極的な運用を行えるアクティブ型の商品に入れ替えたりと、自分の判断で好きなタイミングで配分を変えていけます。いつまでも新鮮さをもって運用ができるところもiDeCoの魅力の一つといえるでしょう。

iDeCoでおすすめの商品とは?

積み重なったコイン

eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)

三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim」シリーズの1つ、「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」はそれぞれに12.5%ずつ均等に投資する8資産均等型なので割合を自分で変更することはできませんが、日本を含めた世界各国の株式と公社債、REIT(不動産投資信託)に投資できるバランス型の商品です。

バランス型は資産のバランスを自動的に調整してくれるリバランスを行ってくれるので堅実な資産運用が可能です。「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」は信託報酬が高めのバランス型の中では低水準な点と、リスク分散重視な点が投資初心者向きといえるでしょう。

楽天・全世界株式インデックス・ファンド

FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスという指標と連動する「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」は、投資先はアメリカが50%超と圧倒的に多く、他にも日本やイギリスといった先進国が占めていますが、これによって世界の株式の時価総額の98%をカバーできるようになっています。世界経済にくまなく投資できるうえにインデックス型なので信託報酬も安く、投資初心者におすすめです。

eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)

「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」はTOPIX(東証株価指数)と連動することを目指す投資信託です。この商品は先にご紹介したインデックス型やバランス型ではありませんが、TOPIXとは東京証券取引所の第1部に上場している株式をもとに算出される指数なので、この商品一つで日本市場の全体に幅広く投資することが可能になります。また、信託報酬が安く購入できる金融機関が多いのも魅力の一つです。

注意点

ここでご紹介した商品は低リスクで手堅く運用できる、あくまで投資初心者向けの商品です。投資による資産形成に慣れるまではこういった低リスクな手堅い商品を中心に運用を進めていくことをおすすめしますが、それだけでは将来的に高い運用利益は見込めません。手堅い運用をすると同時に投資を学び、より効率よく運用できる商品を自分自身で選べるようになることが大切です。

今回は、iDeCoでの商品選びとそのコツ、初心者におすすめの商品をご紹介しました。iDeCoは自分で設定した掛け金を自分の判断で運用方法を決められる個人年金制度です。自分の判断次第で資産が左右されてしまう危険はありますが、制度の仕組みを理解し、状況判断ができるまで学ぶことができれば効率よく資産形成が可能になります。