NISAのデメリットとは?

ピンク色の服を着る女性

NISAデメリット

NISA(ニーサ)とは少額投資非課税制度のことです。

CMなどでも目にするようになりましたので、聞いたことはあるという方も増えたでしょう。

実際に、2014年から開催されたこの制度は、すでに1000万人以上の人が利用しています。

とはいえ、使ってみたいけど、良く分からないという方も多いと思いますが、うまく活用すれば大きな力を発揮しますので、是非、しっかりと学んでください。

NISAのメリットについてはこちらを参考にしてください。「NSAのメリット」

それでは、NISAはデメリットが無いのでしょうか。

通常の投資で利益が出ている分には、ほぼデメリットは無いと言えますが、状況によって違ってきます。今回は、その状況によるデメリットを解説していきます。

NISAは損益通算ができません

まず、NISAのデメリットとして真っ先に挙げられるのは、

「損益通算ができない」ということです。

ただし、これは、「損失が出た場合」という条件付です。では、損益通算とは何かを解説します。

通常の投資では、「投資の利益」として考えられるのは、あなたの投資全体の利益のことです。例えば、ある投資信託では損をしていて、ある株では利益を得た、というように、あなたの資産の中に複数の商品があって、それぞれに損益がある場合、それを合計して利益を計算するということです。

つまり、投資信託Aで50万円の損をしていて、株Bで30万円の利益がある場合、合計すると、結局損失が20万円あることになります。

それなのに、30万円の利益に税金がかかったらおかしいでしょ、ということです。

この場合、合計では損が出ているので、税金はかかりません。

もし、株Bの30万円の利益だけがあなたの損益なら、税金が20.315%かかりますから、手取りは、239,055円ということになりますが、もう一方で損失が出ているので、税金がかからずに済んでいるということです。

損益通算は、この払うはずだった税金分が無くなるということなのです。

しかし、NISAではこれができません。

なぜなら、そもそも、利益が出ていても税金がかからないので、損がでようが利益がでようが、税金が必要ないからです。

この損益通算ができないということが、一般的にはNISAのデメリットと言われることです。

しかし、私に言わせると、極力損失を出さない運用をする訳ですから、これをNISAのデメリットとするのは違和感があります。

損失を恐れる気持ちはわかりますが、損益通算をしたとしても利益は残らない訳ですから、そうならない運用を心がけるべきですね。

 

NISA口座では損益繰り越しができない

 

損益通算と同様に、NISAでは損が出ても利益がでても税金は関係がないので、損益の繰り越しもできません。

損益の繰り越しとは、先ほどの損益通算と同じ仕組みで、損失がでた場合に、翌年に繰り越せるという制度です。

NISA口座ではない、課税口座の場合は、「今年は損が出たけど、翌年は利益が出たという場合」に、損失を繰り越して、翌年の利益と通算できるということです。

この繰り越しができないということも、NISAのデメリットと言われています。

 

NISA口座から移管する際に時価で計算される

移管の時とは、非課税期間終了後に商品を移動させるときのことです。

NISAの期間のところで詳しく解説していますが、5年間の非課税期間が終わった時にそれまで投資をしていた商品を、翌年のNISA枠か特定口座へ移動させることになります。

その時にデメリットが発生する可能性があるのです。

まずは非課税期間が終了する5年後にはどうするか、ということを簡単に整理します。

最長5年の非課税期間が終了したときの選択肢

“最長5年”の非課税期間が終了する時には投資家には3つの選択肢あります。

非課税期間が終了するまでに売却する

翌年の非課税投資枠に移管する(ロールオーバー)

課税口座に移管する

まずは、売却するケースを考えましょう。

NISAで購入した株式等は、購入した直後から非課税期間が終了するまでの間、いつでも売却可能です。売却価格が購入価格よりも高ければ、利益が発生しますが課税されずにNISAの非課税というメリットを享受できます。一方、売却価格が購入価格より低ければ、NISAで取引したメリットはなかったことになります。また、前述のとおりNISAで発生した損失は損益通算に利用できません。

翌年の非課税投資枠に移管する(ロールオーバー)

もう一つの選択肢が、非課税期間が終了する翌年の非課税投資枠に移管(ロールオーバー)することです。

例えば、2014年にNISAで投資をした場合の非課税期間は2018年12月末までです。

その場合、同じ金融機関で2019年もNISAを利用する場合、2019年の非課税投資枠に2014年にNISAで投資して運用していた商品を移管(ロールオーバー)することができます。

そうすると、2019年から新たにNISAで投資をしたとみなされるので、そこからまた5年間非課税となります。

期間とロールオーバーについては、こちらの記事もご参照ください。

「NISA口座の非課税期間と投資上限」

 

課税口座に移管する

非課税期間が終了する際の3つ目の選択肢は課税口座(一般口座・特定口座)に移管することです。

課税口座とは利益が出た場合に税金が発生する口座で、NISAではない口座ということです。非課税期間が終わっても持ち続けていて、かつ、ロールオーバーしない場合は課税口座へ移管することになります。

この時、非課税期間が終わる時点で、その時の価格で課税口座に移管されることになります。

そのため、課税口座に移管後は、移管した時の価格で投資をしたものとして、税金の計算がなされるということです。

例えば、NISAで投資信託に120万円投資をして、課税口座に移管するときに140万円になっていたとします。利益は20万円で、もちろん税金はかかりません。

移管後は、課税口座で140万円投資をしたという計算をすることになります。

ここで注意が必要なのが、移管されるときに値下がりしていて損が出ている場合です。

NISA口座では利益が出ていても損失が出ていても税金の計算には関係がないのですが、課税口座に出た瞬間に税金を無視できなくなります。

例えば、NISAで投資信託に120万円投資をして、課税口座に移管するときに、100万円に値下がりしていたとします。税金はもちろんかかりません。

移管後は、課税口座で100万円を投資したという扱いになります。

この場合、仮にこの100万円が課税口座で運用して値上がりし、120万円になった場合を考えてみましょう。

利益が20万円出ていることになるので、これに20.315%課税されることになり、40,630円が差し引かれて、手元に残る利益は159,370円となります。

元本と合わせると、1,159,370円となりますが、もともとはNISA口座に120万円投資をしたお金だったということを考えると、元本と変わらないのに税金分だけ損をすることになりますね。

これはNISAのデメリットと考えられるわけです。

このデメリットを無くすためにはNISA口座では利益を出すということになりますが、それはNISAでもそうでなくても同じことですよね。

強いて言うなら、NISAでは、マイナスになりにくい投資を心がけるということでしょうか。

私がNISAでは、コツコツ積み立て投資をお勧めしている理由もここにあります。

また、2018年からは、「積み立てNISA」も始まりましたので、こちらも参考にしてください。

積み立てNISAとは何か?